道摩法師(読み)どうまほうし

世界大百科事典(旧版)内の道摩法師の言及

【蘆屋道満】より

安倍晴明と術くらべする人物として登場することが多い。《古事談》《宇治拾遺物語》《十訓抄》に,道摩法師が藤原顕光の命で藤原道長に妖術をしかけるが,道長の犬と晴明に見破られ,本国播磨国に追放されたと伝える。《峯相記》《東斎随筆》に同じ説話が見え,道摩を道満に作る。…

【安倍晴明】より

…ほかでは,《古事談》(1212‐15),《宇治拾遺物語》《今昔物語集》《源平盛衰記》《発心(ほつしん)集》(鴨長明作という),《峯相記(みねあいき)》などに彼の事跡が伝えられている。その中では,かの藤原道長が法成寺(ほうじようじ)建立の工事現場におもむいたとき,愛犬の白犬が道長の歩行を阻んだので,晴明に占わせたところ,道長を呪詛する者ありと断じ,犯人の〈道摩法師(どうまほうし)〉の居所を当てたという話が興味ぶかく,道長の政敵の一たる左大臣藤原顕光の依頼で道長を呪詛した〈道摩〉とは,同じ話を伝える《峯相記》では〈道満(どうまん)〉であり,陰陽師として晴明と張り合っていた法体(ほつたい)の人物であった。この2人の,卜占をめぐる熾烈なる抗争は古浄瑠璃《信田妻(しのだづま)》(作者不明)や義太夫《蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)》(竹田出雲作,1734初演)などの名作として,既往の所伝や芸能をふまえつつ江戸時代前期に結実したが,そこでは晴明は摂津国の安倍野の武士である安倍保名(あべのやすな)が和泉国の信田(信太)森(しのだのもり)の狐(白狐)の化身である女と契って生まれた子だとしている。…

※「道摩法師」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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