世界大百科事典(旧版)内の《部族崩壊》の言及
【アチェベ】より
…72年マサチューセッツ州立大学へ招かれ,コネティカット州立大学などを経て,現在はナイジェリア大学教授。小説四部作《部族崩壊》(1958),《もはや安楽なし》(1960),《神の矢》(1964),《国民の中の一人》(1966),短編集《戦場の女たち,その他》(1972),詩集《わが魂の同胞よ,心に銘記せよ》(1971),評論集《未だ創造の日の朝》(1975)のほか,児童文学がある。《部族崩壊》は19世紀末を背景に,白人の宣教師と官吏が踏み込んだ頃のイボ社会の分裂を描くもの。…
【アフリカ文学】より
…ナイジェリアでは1940年代後半からアフリカ人の都市生活を活写し,大衆小説の分野で息の長い活躍を見せているエクウェンシCyprian Ekwensi(1921‐ )やヨルバ説話に取材する《ヤシ酒飲み》(1952)で知られるチュチュオーラAmos Tutuola(1920‐ )らがいるが,後代への影響力の点でアチェベが傑出する。処女作《部族崩壊》(1958)で,彼はアフリカの伝統価値と西欧近代の価値との相克,そこから結果するアフリカ側の悲劇という,現在では古典的ともいえるテーマを開拓した。現在までのアフリカ人作家のおもなテーマは,西欧・キリスト教との出会い,植民地統治の初期段階,西欧教育の受容と反発,都市化の問題,独立以前・以後の政治と国家形成などで,それぞれに秀作が見られる。…
※「《部族崩壊》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」