世界大百科事典(旧版)内の非アリストテレス的演劇の言及
【叙事演劇】より
… Episches Theaterという言葉は,1920年代に従来の感情移入に基づいた〈劇的〉な演劇では扱いきれぬ政治的な主題を扱うために,E.ピスカートルの叙事的要素への注目に刺激されたB.ブレヒトが,自己の演劇を特徴づけるために意識的に用いるようになったものである。〈非アリストテレス的演劇〉という言い方も使われるが,これは別に具体的にアリストテレスの演劇論に反対するというのではなく,アリストテレスを淵源とする総体としての伝統的・従来的ヨーロッパ演劇をさして,それを否定するという意味合いのものであった。 事件がいま現実に行われているように錯覚させる〈劇的〉な演劇は,観客を情緒的に舞台に巻き込んでしまうが,事件を物語的,実地教示的に,特定の強調を施して再現する叙事演劇は,観客に舞台から批判的な距離をとらせ,内容について熟考し,認識するきっかけを与える。…
※「非アリストテレス的演劇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」