風雅の誠(読み)ふうがのまこと

世界大百科事典(旧版)内の風雅の誠の言及

【風雅】より

…ことに蕉風俳諧の時代になると,俳諧を漢詩,和歌,連歌など伝統的文芸のレベルにまで高めようという芭蕉たちの芸術的自覚にもとづき,〈詩,歌,連,俳は共に風雅なり〉(《三冊子》)などと,俳諧をも風雅と呼ぶようになった。芭蕉は〈つねに風雅の誠を責悟(せめさと)りて,今なす処俳諧にかへるべし〉(同)と教えていたというが,それは〈風雅の誠〉が芸術としての俳諧の第一の存在根拠であると考えられていたからである。【堀 信夫】。…

【誠】より

…また近世では,ときの教学としての儒学,とりわけ朱子学がもてはやされた結果,〈誠者天之道也〉(《中庸》)の考えが広まり,〈誠〉は天地自然を生成運行する根源的な力,ないし人間の諸活動の源となる創造力の原理・本体として位置づけられるようになった。そして,芸術の分野では,あらゆる対象の中に宇宙の生命(小宇宙)を認め,その生命と感合することで自己の本性を明らかにしようとする芭蕉の〈風雅の誠〉論,あるいは〈まことの外に俳諧なし〉(《独ごと》)と喝破した鬼貫の俳諧論を生み出している。一方,和歌の世界でも新しい動きがみられ,復古神道の荷田春満(かだのあずままろ)は人情のまことを重んじ,その門下の賀茂真淵は心に思うことを理・非理にとらわれることなくそのまま表現すべきだという〈歌の真言(まこと)〉説を主張するようになった。…

※「風雅の誠」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android