騎士道本系統(読み)きしどうぼんけいとう

世界大百科事典(旧版)内の騎士道本系統の言及

【トリスタンとイゾルデ】より

…これに対し,当事者の自由意志を基本とする宮廷風騎士道物語の視角からこの伝説を取り上げ,主人公の行動よりは心理分析に熱中し,媚薬の役割を象徴的なものに変えた試みが,フランスのトマThomasによってなされる(1158‐80?)。オックスフォード写本《トリスタン佯狂》(12世紀末?),ノルウェーの修道僧ロベルトの《サガ》(1226),ドイツのゴットフリート・フォン・シュトラスブルクの《トリスタン》(1205‐10?)はトマの流れをくむもので,〈騎士道本系統〉と呼ばれる。 この衝撃的な情熱の物語は,円卓騎士物語とからみ合ったり,数々の模倣あるいは批判の作品を生み,後世に伝わっていくが,そのなかでも最も大きな影響を及ぼしたのは,昼の常道と夜の情熱の相克を歌い上げ,この題材から象徴主義の神話をつくり出したR.ワーグナーの楽劇であった。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」