世界大百科事典(旧版)内の黄泉比良坂の言及
【根の国】より
…この物語から根の国の多義的な性質が明らかになる。根の国は洞窟を暗示する黄泉比良坂(よもつひらさか)を伝って行く地下の国であり,蛇やムカデの生息する小暗き所であった。そこは黄泉国(よみのくに)とも重なって死者や祖霊のこもる場所でもあり,病気や害虫をはじめとして罪という罪が祓いやらわれる海底の国でもあった(《大祓(おおはらい)の祝詞》)。…
【黄泉国】より
…《古事記》によると,伊邪那岐(いざなき)命は死んだ伊邪那美(いざなみ)命を呼びもどそうとして黄泉国へと赴くが,〈視るな〉の禁を犯してイザナミを視ると肉体は腐乱し蛆(うじ)がたかっている。驚いたイザナキはイザナミの追行をかわして黄泉比良坂(よもつひらさか)まで逃げもどり,そこを〈千引石(ちびきのいわ)〉でふさいでやっと地上に生還する。かくてイザナミを黄泉津大神(よもつおおかみ)といい,その黄泉比良坂は出雲国の伊賦夜坂(いふやざか)だという。…
【青木繁】より
…翌年東京美術学校西洋画科選科に入学,黒田清輝らの外光派的表現を学ぶが,さらに《古事記》などの日本神話,ギリシア神話,インド外道諸派の物語を耽読し,ラファエル前派にひかれ,明治ロマン主義文学の高揚期にあって独特のロマン主義的画風を形成した。1903年第8回白馬会展に,《古事記》に取材した《黄泉比良坂(よもつひらさか)》などを出品し,第1回白馬会賞を受賞。04年東京美術学校を卒業,この年の夏,森田恒友,坂本繁二郎,福田たねらと千葉県布良(めら)海岸に写生旅行し,モネの影響を思わせる数点の海景と,青木繁の代表作となったばかりでなく,明治ロマン主義絵画の絶頂ともいえる《海の幸》を制作した。…
※「黄泉比良坂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」