世界大百科事典(旧版)内のal-Dhahabīの言及
【年代記】より
…とくに《預言者と諸王の歴史》は,同じタバリーの《タフシール》(コーラン注釈書)の姉妹編をなすもので,世界史の全過程を,天地の創造から最後の審判に至るまでの神の人類救済の意志と計画の具体化とする神学的歴史観によって貫かれ,その後におけるイスラム教徒の年代記の模範となった。年代記的世界史に新形式を開いたのは13世紀のイブン・アルアシールの《完史》とザハビーal‐Dhahabī(1274‐1348)の《イスラム史》で,前者は天地創造に始まり,それまでに書かれた史書のレジュメたることを意図して,タバリーの特徴であった詳細なイスナード(伝承の過程の記録)を省き,年代記の枠の中で事件の一貫した叙述に努める。後者は神学的歴史観に立ち,イスラム時代だけを対象とするが,政治史の記述と個人の伝記とを巧みに織り込む。…
【歴史】より
… 年代記的世界史の伝統は13世紀に復活された。これを代表するものにイブン・アルアシールの《完史》とザハビーal‐Dhahabī(1274‐1348)の《イスラム史》とがあり,それぞれ伝統的なイスラム教徒の年代記に新機軸を開いた。その後のアラビア語史書は主として地方史と伝記に集中し,とくにエジプトと西方イスラム世界で多くの傑作が著された。…
※「al-Dhahabī」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」