世界大百科事典(旧版)内のal-Khaṭībal-Baghdādīの言及
【地誌】より
…9世紀のイブン・アブド・アルハカムは《エジプト,マグリブ征服史》の中で,エジプトの魅力(ファダーイル)とカイロ南郊の旧都フスタートの発展ぶりを書き記し,イブン・ファキーフ(9世紀)はバグダードについてその地理的環境と巨大な町並みの様子を詳しく伝えている。その伝統はバフシャルBaḥshal(?‐905)の《ワーシトの歴史》やハティーブ・アルバグダーディーal‐Khaṭīb al‐Baghdādī(1002‐71)の《バグダード史》へと受け継がれたが,これらがいずれも人物誌中心の地誌であったのに対して,キンディーal‐Kindī(897‐961)はエジプトを対象にはじめて地誌の専門書を著した。続いてイブン・ズーラークIbn Zūlāq(919‐997)が《エジプト誌》を書き,ナハウィーNaḥawī(?‐1126)も新都カイロを中心にエジプトの地誌を著したが,これらは現在いずれも散逸して伝わらない。…
【歴史】より
…これらの地方史は,年代記的世界史にみられないきめ細かな情報を伝える点で重要な史料的価値をもつ。ちなみにハティーブ・アルバグダーディーal‐Khaṭīb al‐Baghdādī(1002‐71)の《バグダード史》やイブン・アサーキルの《ダマスクス史》などは,歴史と称するものの実際の内容はその地で活躍した名士たちの伝記集である。また,イスラム帝国の分裂とマムルークなどの軍人が軍事・行政・財政に関する全権限をカリフに代わって行使する武家政治を経験した11世紀に,多く廷臣または官僚の手になる同時代史年代記が出現した。…
※「al-Khaṭībal-Baghdādī」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」