世界大百科事典(旧版)内のamourcourtoisの言及
【宮廷風恋愛】より
…とくに南フランスの抒情詩人トルバドゥールたちによって中心主題として歌われ,封建制度と当時の宗教的感情を基盤として確立するにいたった。宮廷風恋愛amour courtoisとは後世の呼称で,当時は雅(みやび)の愛fin’amorとよばれ,(1)対象は上層貴族階級の人妻に限る(夫婦間にこの愛はありえない),(2)プラトニックではなくて官能的な愛ではあるが容易に充足されてはならない,(3)嫉妬深い夫やさまざまな障害によってかえって強められねばならない,(4)秘められた恋であり,とくに女性の名は明かされてはならない,などの厳しい条件があった。単なる性的本能の充足や原初的衝動から身を律するこの高度に昇華されたエロティックな愛の規範は,13世紀初めにアンドレ・ル・シャプランの《恋愛論》に,不十分ながらまとめられている。…
※「amourcourtois」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」