世界大百科事典(旧版)内のAretaiosの言及
【精神分裂病】より
…その前身の〈早発(性)痴呆〉でさえ19世紀半ばからで,躁鬱病が〈マニア〉と〈メランコリア〉の名で古代ギリシアの昔から一貫して記述されてきたのに比べると,はなはだしい不均衡があり,それだけ時代の狂気観にさらされていたことになる。
[概念の変遷]
むろん,今日の分裂病に相当すると考えられる先行形態は人間の歴史とともに存在したはずで,ギリシア医学でもアレタイオスAretaiosやソラノスによって近似の病像が描かれている。とはいえ,中世から17,18世紀ごろまでは分裂病像の医学的記述に見るべきものがなく,この貧困さに対して,オルレアンの処女ことジャンヌ・ダルク,シェークスピア《ハムレット》のオフィーリア,宗教家スウェーデンボリらの例は当時の分裂病のありようを生き生きと伝えて余すところがない。…
【糖尿病】より
…インシュリン血糖【菊池 方利】
【疾病史】
糖尿病は,すでに古代エジプトの前13世紀の医学パピルスに治療法が記載されており,古代インドの医書《アーユル・ベーダ》にもかなり詳細な診断が記載され,〈体重が重く,金持ちで大食の人がかかりやすい〉と書かれている。ヒッポクラテスには糖尿病を思わせる病気の記録はあるが,糖尿病についてはっきりとした記載がみえるのは後2世紀になってからであり,とくにアレタイオスAretaiosがこの口渇と多尿の病気を正確に記述し,diabētēsという語を初めて病名に使った。アラビア医学ではラージーとイブン・シーナーがこの病気について述べており,16世紀のパラケルススも知っていた。…
※「Aretaios」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」