世界大百科事典(旧版)内のBéroulの言及
【トリスタンとイゾルデ】より
…モロアの森に追放されたあと,二人は離別を強いられるが愛は変わらず,やがて重傷を負ったトリスタンがイゾルデの到着を待ちきれず死ぬと,イゾルデもあとを追うようにして死ぬ。 制度の弾圧によっても抑止できぬ性愛,それも死によって完結する運命的情熱の物語は,例えば《デイアメイドとグレイン》のようにケルト人の伝承に起源をもつが,1170年ころ,同じく失われた原本から出発した2人の作者,ドイツのアイルハルト・フォン・オーベルゲEilhart von Oberge,フランスのベルールBéroulによって書かれた。媚薬に決定的な役割を与え,主人公が情熱を満たすためには詐術や暴力も辞さぬなど,荒削りな原型をよく伝えていると思われるこの二つの物語と,ベルン写本《トリスタン佯狂》(12世紀末?),《散文トリスタン》(1215‐30?)を〈流布本(俗本)系統〉と呼ぶ。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」