世界大百科事典(旧版)内のDelluc,L.の言及
【フォトジェニー】より
…写真うつりがいいことを意味するフランス語で,〈フォトジェニックphotogénique(写真うつりがいい)〉という形容詞も一般的に使われるが,映画用語としてはカメラうつりがいい俳優(とくに女優)の美しさを意味するとともに,サイレント時代の映画美学としての映面史的な意味をもつ。 かつて世界の市場を支配したフランス映画が,第1次世界大戦を機にハリウッド映画に圧倒されていた当時,フランスのもっとも先駆的な映画人の1人であったルイ・デリュックLouis Delluc(1890‐1924)は,映画の本質を〈フォトジェニー〉ということばであらわし,《フォトジェニー》(1920)と題する著書も出した。〈フォトジェニー〉は定義しがたい〈魔法のことば〉といわれたが,デリュックを師と仰いだ監督・理論家のジャン・エプスタンは,《エトナ山上の映画論》(1926)のなかで,〈絵画にとっての色彩,あるいは彫刻にとってのボリューム,すなわちその芸術の固有の要素〉とフォトジェニーを定義し,また映画批評家・理論家レオン・ムーシナックLéon Moussinac(1890‐1964)は,フォトジェニーの本質を〈視覚的リズム〉と定義した。…
※「Delluc,L.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」