世界大百科事典(旧版)内のFlourens,M.J.P.の言及
【延髄】より
…古くガレノスやビュサンスRaymond Vieussens(1641‐1716)により観察されていたが,延髄の傷害で呼吸の止まることを見いだしたのはロリーA.C.Lorry(1760)とルガロアJ.J.C.Legallois(1812)である。その後,フルーランスM.J.P.Flourensは延髄の呼吸中枢の場所を明確にし(1837),生命結節と名づけた。
[外部構造]
延髄の表面には,脊髄から続いてきた3本の縦に走る溝により上面から下面にかけて左右対称的に三つの高まりができている。…
【三半規管】より
…しかし,その機能とか生理的意義がわかるようになったのは19世紀になってからである。すなわち1842年フルーランMarie J.P.Flourens(1797‐1867)が,鳩の三半規管を部分的に破壊すると頭がまがったり,うまく歩けなくなることを発表してから,三半規管が身体の平衡保持に重要な場所であることがわかってきた。その後,多くの研究者により三半規管の詳細な働きが解明され,さらに20世紀に入ってから,バーラーニRobert Bárányが温度刺激・回転刺激による検査法を発表して,その功績によりノーベル賞を受賞した。…
【全体論】より
… 他方,人間の心的機能について,それらは脳の各部分がつかさどっているとする大脳定位説(局在論)が現在も有力であるが,失語症の研究から局在論に疑問が投げかけられている。この場合の全体論はGanzheitstheorieと呼ばれるものでフルーランスPierre Flourens(1794‐1867)からゴルトシュタインKurt Goldstein(1878‐1965)まで有力な見解をなしており,哲学的にはベルグソンやベルリン学派のゲシュタルト心理学者たちによって表明されている。彼らはいずれも要素論的な心理学に対して批判的立場を取り,メロディやパターンなど要素に還元できない〈ゲシュタルト知覚〉の重要性を指摘した。…
【脳】より
…ガルF.Gallは,大脳のなかに理性,情意,本能,気質などの中枢があり,その各部の発達の強弱に従って頭蓋骨に高まりやくぼみができるので,頭の形から人の性質,素質を知ることができると唱えた。しかし,1830年ころフルーランM.J.P.Flourensは,大脳表面のどこかが部分的にこわされてもいつも同じような病状が起こってくることを根拠に,大脳には種々の中枢などはなく,どこでも同一の価値をもつと考えた。この大脳皮質同価値説に押されて,ガルの骨相学は勢いを失ったが,やがて61年のP.ブローカの失語症の研究や,63年のJ.H.ジャクソンによる癲癇(てんかん)の研究により,大脳皮質に機能の局在があるとの考えが復活してくる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」