世界大百科事典(旧版)内のHēliadesの言及
【ファエトン】より
…成人してはじめて会った父神に,どんな願いもかなえてやるといわれた彼は,1日だけの約束で父の馬車を借りて大空に乗り出したが,荒馬を御すすべを知らなかったため,軌道を踏み外した火炎の車があやうく地を焼き払いそうになったとき,ゼウスの雷霆によってエリダノス川へ撃ち落とされた。このとき河畔に集まった彼の姉妹たちのヘリアデスHēliades(太陽神の娘たち)は,その死を悼んで嘆き続けるうちにポプラの木と化し,彼女たちの涙は凝固して琥珀(こはく)になったという。エリダノス川は古くは北洋に注ぐ大河と想像され,のちにはポー川と同一視されたが,河口にエレクトリデス(琥珀)諸島があるというこの川は,ヨーロッパではバルト海にしか産しない琥珀が青銅器時代の地中海世界に入ったときの交易路,いわゆる〈琥珀の道〉の記憶をとどめるものと考えられている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」