世界大百科事典(旧版)内のMilizia,F.の言及
【バロック美術】より
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【概念の変遷】
〈バロック〉という概念が,18世紀のイタリア・フランスの芸術批評において,17世紀の特定の芸術様式をさす軽蔑的な表現として使用されたことが,この時期の両国の用語辞典によって明らかである。フランスの《建築歴史辞典》(1788)の〈建築〉に関する項目でカトルメール・ド・カンシーA.C.Quatremère de Quincyは,バロックを〈ビザールbizarre(奇妙なもの)の一種で,洗練された風変り,その濫用〉と定義しており,他方ミリーツィアF.Miliziaによるイタリアの《美術辞典》(1797)も,比例,均衡等の古典的規範が守られていない〈堕落した趣味〉をバロックと呼んでいる。カトルメール・ド・カンシーをはじめとするフランス18世紀の美術批評家は,アカデミズムの理念に立っており,またイタリアのミリーツィアは,古典古代とルネサンスの芸術を最高の規範とし17世紀の芸術を堕落と考えたウィンケルマンの思想に傾倒した新古典主義の批評家であった。…
※「Milizia,F.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」