世界大百科事典(旧版)内のpomeriumの言及
【ローマ】より
…つまりここには神々に崇敬を払い,そのための祭儀をなすことによって,恩恵としての安寧と繁栄が与えられる,という神と人との相互授受の観念,ラテン語でdo ut des(〈神々たる汝が与え給わんがために我は与える〉の意)と表現される観念がみいだされ,このような観念は古代末期に至るまでのローマの宗教の根底をなしたといえる。ローマでは王自体が祭司の機能を果たしていたらしく,建国神話においても都市の起源がポメリウムpomeriumと呼ばれる神聖な円い土地に求められ,共和政期を通じて,そこは神聖な領域として保持され続けたこともローマ国家と宗教の強固なつながりを示す。国家の成長に伴って神官も増えた(サリ神官団,ユピテル祭司団,ウェスタの巫女)。…
【ローマ[市]】より
…前650年ころ,エトルリア人支配の影響下,ラテン人とサビニ人の個別的集落が合体し,〈集住〉によって,七丘を中心に,カピトリヌス丘を砦,共同の神域とし,その下の低地を広場とする都市国家ローマが成立した。ポメリウムpomeriumという特別な儀式で聖別された境界線が町を囲み,市域と市外を分けたが,最古の町は四つに区分された。神聖不可侵のポメリウムの内が宗教的な意味での〈市urbs〉であり,国家的な儀式が行われ,ローマ市民の完全な自由が守られるのは市内に限られ,市域と市外は画然と分けられた。…
※「pomerium」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」