知恵蔵 「PPAP」の解説
PPAP
16年には、その年の世相を顕著に表した言葉を選ぶ「現代用語の基礎知識選『ユーキャン新語・流行語大賞』」のトップ10や、1年間にインターネット上で最も流行した言葉を選ぶ「ネット流行語大賞」の「金賞」に選ばれたほか、「第58回日本レコード大賞」の「特別話題賞」、「第49回日本有線大賞」の「有線話題賞」を受賞した。
動画では、派手なパイソン柄の衣装にサングラス、パンチパーマと独特ないでたちのピコ太郎が、軽快なステップを踏みながら、「ペン」「アップル」「パイナップル」のほぼ3語を組み合わせて歌う。プロデュースは青森市出身のお笑い芸人、古坂大魔王(1973年7月17日生まれ)がしており、りんごを食べながら作曲している際に、近くにペンとパイナップルの缶詰があったことから生まれた曲だという。ピコ太郎は「スタジオを借りて、6時間で20曲撮った(うちの1曲)。もともと10万円で借りた」と明かしている。
ピコ太郎によると、動画は当初、日本の中高生の間で話題となった。その後、海外の動画サイト「9GAG」に取り上げられ、1日の再生回数が1000万回を超える。そして16年9月末に世界的に有名なカナダ人歌手、ジャスティン・ビーバーが自身のTwitterで「お気に入りの動画」と紹介したことで世界各地に広まり、再生回数が急上昇。同時期に米CNNなど海外の大手メディアやウェブメディアなどでも相次いで取り上げられ、10月7日には「PPAP」など4曲を米、英、中国など世界134の国・地域に配信した。ピコ太郎はこれらの現象について「ミラクルが2万回起こったと思っている」と話している。更に16年12月7日、「PPAP」やそのアンサーソング「カナブンブーンデモエビインビン」など25曲を収録したファースト・アルバム「PPAP」を発売した。
世界的な大ヒットの理由として、音楽部分を含めた動画全体の長さが1分8秒(ショート・バージョン)と短めなことや、ピコ太郎の見た目のインパクト、動画全体に漂うコミカルな雰囲気などが挙げられている。
また、まねしやすく、パロディーが作りやすいのも特徴で、16年11月現在、非公式なものを含めたリミックス動画など関連動画は7万件以上あり、再生回数は5億回に達したといわれている。11月の米大統領選挙で当選した共和党、ドナルド・トランプの孫娘がPPAPを歌う姿も投稿され、話題を呼んだ。
(南 文枝 ライター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報