世界大百科事典(旧版)内のZF公理系の言及
【数学基礎論】より
…数学は矛盾のない理論体系と信じられており,諸科学の中でももっとも厳密な論証を誇るものとして,およそそのよって立つ基盤がゆらぐようなことがあろうなどとは考えられなかった。ところが,19世紀末G.カントルによって創設された集合論はまもなく逆理を生じた(パラドックス)。カントル自身が発見した逆理(1899),ブラリ=フォルティの逆理(1897)やラッセルの逆理(1903)がそれである。集合論におけるすこぶる有効な用法ときわめて類似したしかたによって容易にこれらの逆理が導かれるのみならず,同時期に提出されたリシャールの逆理(1905)〈25字以内の字数によっては定義されない最小の自然数は,現にこの文章によって25字で定義されている〉とともに,ほとんど形式論理の範囲内で現れることから数学は重大な危機に陥った。…
【連続体問題】より
…カントル以降カントルの素朴な集合論を公理を使って再構成する公理的集合論が展開され,連続体仮説の正否をめぐって研究が続けられた。1940年,K.ゲーデルはツェルメロE.F.F.Zermelo(1871‐1953)とフレンケルA.A.Fraenkel(1891‐ )によって提出された集合論の公理系がその内部に矛盾を含んでいなければ,この公理系(ZF公理系)に連続体仮説と選択公理をつけ加えたものも内部に矛盾を含まないことを示した。さらに63年,コーエンP.J.Cohen(1934‐ )は,ZF公理系と連続体仮説と選択公理は独立であることを示した。…
※「ZF公理系」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」