世界大百科事典(旧版)内の《児童の世紀》の言及
【ケイ】より
…19世紀末から20世紀初頭にかけてスウェーデンの経済構造の急激な変化の過程で,とくに婦人と子どもの生活に深い関心をよせ,教育論,結婚論,婦人運動論を展開した。主著の一つ《児童の世紀》(1900)は,20世紀が子どものための世紀にならなければならない,と宣言して世界の新教育運動に思想的指針を与えた。日本でも1906年に大村仁太郎がドイツ語版から,16年には原田実が英語版から訳出して,大正期の児童中心主義的立場に立った教育改造運動に大きな影響を与えた。…
【児童福祉】より
…児童が人として尊重され,物心両面における健全な環境のもとで養育され,健やかな成長が保障されることを理念とした児童福祉が日本の社会福祉政策の一環として確立したのは第2次大戦後のことである。 スウェーデンの女流思想家エレン・ケイは,1900年に《児童の世紀》を著し,婦人の地位向上は女権解放でなく母性の実現にあるとして,健全な母性のあり方に深くかかわる児童の健やかな発達に世界の未来がかかっていることを説き,児童福祉,児童教育界に大いなる影響を与えた。日本では第2次大戦前までは児童に固有の人権があるという考えに乏しく,忠・孝の倫理によってその個人としての発達を抑制されていたといってよい。…
※「《児童の世紀》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」