《聖ジュネ》(読み)せいじゅね

世界大百科事典(旧版)内の《聖ジュネ》の言及

【サルトル】より

… このように彼が一時代の代表的知識人と見なされたのは,むろん彼の思想が他に類のないほどスケールの大きなものだったからであるが,同時に彼が時代とともに滅び去るつもりで,ひたすら同時代人に語りかけたためでもあった。その著作は膨大な量に上るが,上記のもののほか重要な作品は,まず第3期の理論的到達点である《弁証法的理性批判》(1960),また〈実存的精神分析〉を縦横に駆使しながら作家の形成を解明した《聖ジュネ》(1952)と《家の馬鹿息子――フローベール論》(1971‐72),戯曲として《出口なし》(1944),《汚れた手》(1948),《悪魔と神》(1951),《キーン》(1953),《アルトナの幽閉者》(1959),それに,〈文学とは何か〉や〈共産主義者と平和〉など,そのときどきの状況に応じて書かれた文章を集めた《シチュアシオン》全10巻などである。 なお,サルトルが第2次大戦後の日本に与えた影響はきわめて広く,また深い。…

【ジュネ】より

…コクトー,J.P.サルトル,F.モーリヤック,P.クローデルらによる大統領への特赦請願が功を奏して,以後,ジュネは作家として生活するようになる。だがガリマール社による小説《泥棒日記Journal du voleur》の刊行(1949)と,同社刊の《ジュネ全集》の巻頭を飾るはずのサルトルの《聖ジュネ――役者にして殉教者Saint Genet――comédien et martyre》(1952)が,小説家ジュネの活動には終止符を打ってしまう。この中でのサルトルの精密で膨大な分析によって一種の〈空白状態〉に陥り,〈物を書くことができなくなった〉ジュネは,54年,《女中たち》の再演に際して書いた〈ジャン・ジャック・ポーベールあての手紙〉で語っているように,演劇によって作家としての再生を果たすことができた。…

※「《聖ジュネ》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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