世界大百科事典(旧版)内の仁王禅の言及
【鈴木正三】より
…このため江戸へ出て幕府に仏教による治国を献策すべく活動し,家光の嗣子家綱の守役となった松平乗寿や長崎奉行であった馬場利重を通じてその実現に執念を燃やしたが,果たさずして没した。その禅は仁王禅といわれ,念仏,戒律をも重修し,勇猛心をもって自(じ)心中の仏を念ずるというものであり,また,僧侶を役人として民衆教化を役とさせるという仏教治国,あらゆる職業はそれに専念するとき仏行となる(職分仏行説)という世俗倫理を説き,これらを仮名草子にも著すなど,多方面に活動した。著述に,《盲安杖(もうあんじよう)》《万民徳用(ばんみんとくよう)》《麓草分(ふもとのくさわけ)》《因果物語》《二人比丘尼(ににんびくに)》《念仏草子》《破吉利支丹(はキリシタン)》,語録に《驢鞍橋(ろあんきよう)》などがある。…
※「仁王禅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」