八艘飛び伝説(読み)はっそうとびでんせつ

世界大百科事典(旧版)内の八艘飛び伝説の言及

【源義経】より

…この伝説では,ふつう太刀1000本を奪う悲願を立てるのが弁慶で,義経と対戦して敗れ家来となることになっているが,1000本の太刀を奪うのが義経となっているものもある(《武蔵坊弁慶絵巻》など)。
[世盛り]
 世盛りの時代の義経の活躍は《平家物語》などに見えるが,なかでも摂津国一ノ谷鵯越で,人馬も通わぬ嶮岨な坂を精兵3000を率いて敵陣の背後をついた坂下し伝説,屋島の合戦に海に落とした自分の弓を,叔父為朝の剛弓に恥じて,危険を冒して拾い上げる弓流し伝説,壇ノ浦の海戦に,敵将能登守教経に追われて,次々と8艘の船に跳び移り,これをのがれた八艘飛び伝説,屋島の平家軍を襲うため,船の舳先(へさき)にも艫(とも)にも櫓を立て,進退自由にしようと主張する梶原景時と対立して今にも景時を切ろうとしたとする逆櫓論伝説,生捕りにした平宗盛父子を護送して相模国腰越に到着した義経が,頼朝から鎌倉に入るのを拒まれ,いわゆる〈腰越状〉を書いて弁明したとする腰越状伝説などが有名である。
[没落期]
 京都に帰った義経は堀河の館にしばらくとどまるが,義経の討手を頼朝から命じられ,熊野参詣と称して上洛した土佐坊昌俊(正尊などとも)に襲われる(能《正尊》,幸若舞《堀河夜討》などにも)。…

※「八艘飛び伝説」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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