一番(読み)イチバン

デジタル大辞泉 「一番」の意味・読み・例文・類語

いち‐ばん【一番】

[名]
順序番号最初。また、最初のもの。「一番電車
最も優れているもの。また、最も大切なこと。「一番成績」「何よりも健康が一番だ」
歌合わせ・碁・相撲剣道などの勝負組み合わせ。一勝負の組み合わせ。「この一番が見ものだ」「結びの一番
謡・能・歌舞などの一曲。「謡を一番あげる」
[副]
この上なく。最も。「君が一番上手だ」
ためしに。思いきって。ひとつ。「できるかどうか、ここで一番試してみよう」
アクセント2はイバン、1はイチバン
[類語](1第一真っ先最初初発先頭いの一番トップ初め一次原初嚆矢こうし手始め事始めまず優先しょぱな先立ち当初初期初頭始期早期劈頭へきとう冒頭出出でだ滑り出し初手出端ではなはなはし口開け取っ付きあたまのっけスタート取り敢えず差し当たりひとまず当座序の口皮切り第一歩第一声始まり始まる始める発端端緒濫觴らんしょう権輿けんよ起こりとば口取っ掛かり開始幕開き開幕立ち上がり口切り最優先何をおいても何はさておき何はともあれ口火を切る先ず以て/(2一等一級無上至上至高最高最上最良最善随一ぴか一白眉はくびベストナンバーワントップ最も

ひと‐つがい〔‐つがひ〕【一番】

雌雄一対。「一番小鳥

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一番」の意味・読み・例文・類語

いち‐ばん【一番】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 二人またはそれ以上が一組となること。
      1. (イ) 一組。一つがい。
        1. [初出の実例]「凡車駕行幸者、舎人四番〈以十二人一番〉供奉」(出典:延喜式(927)一三)
      2. (ロ) 歌合・相撲・競べ馬などの勝負の第一組。
        1. [初出の実例]「一番郭公 左勝」(出典:類従本民部卿行平歌合(885‐887頃))
        2. 「競馬有けるに、一番に尾張兼時・下野の敦行乗りたりける」(出典:今昔物語集(1120頃か)二三)
    2. 一回。一度。
      1. (イ) 舞、能、狂言などの一曲。
        1. [初出の実例]「舞も定めて能かるらん。一番見んぞや」(出典:平松家本平家(13C前)一)
      2. (ロ) 碁、将棋、相撲、賭博などの一勝負。
        1. [初出の実例]「碁盤とりよせ〈略〉、一番がほどに例ざまにならせ給ける」(出典:今鏡(1170)九)
        2. 「今一番取らうと仰せらるる」(出典:虎寛本狂言・文相撲(室町末‐近世初))
      3. (ハ) 一般に、一回の試み、また一度の行為や作用。
        1. [初出の実例]「時宗の坊主、比丘尼と一ところにて、雨の中寂しさに、一ばんと思ひ」(出典:咄本・昨日は今日の物語(1614‐24頃)上)
        2. 「一番ごっきりで義興めを、川中でぐんと云はせた」(出典:浄瑠璃神霊矢口渡(1770)四)
    3. 順序の最初。最上位。第一。
      1. (イ) 最初。まっ先。先頭。
        1. [初出の実例]「其貢進之次、以左近一番」(出典:延喜式(927)二〇)
        2. 「一番に馳せ参ずべし」(出典:車屋本謡曲・鉢木(1545頃))
      2. (ロ) 最もすぐれていること。最も大切なこと。程度が最も大であること。
        1. [初出の実例]「良弁僧正と云は、東大寺一番の別当也」(出典:九冊本宝物集(1179頃)六)
        2. 「一ばんの桶さア買てきなさろ」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)六)
      3. (ハ) その日の最初に出る汽車や電車、船などの乗り物。
        1. [初出の実例]「恐らく明日の朝一番で出るだらう」(出典:泊客(1903)〈柳川春葉〉一)
    4. 劇場や寄席での鳴り物の名。→一番太鼓
      1. (イ) 芝居で下座の合方が鳴り物として、打込みにたたく大太鼓。初めは縁(ふち)を回してたたき、後、どどんどんどんとたたくもの。
      2. (ロ) 寄席で、開場と同時に大太鼓を長桴(ながばち)で打ち込むこと。
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. こころみに一度。ためしにちょっと。また、「緊褌一番」などの形で、ひとつ思い切っての意を表わす。
      1. [初出の実例]「こっちも一番いうた跡は、モウいざこざはないわいの」(出典:浄瑠璃・妹背山婦女庭訓(1771)四)
      2. 「チルチルなるもの、感奮一番せざるを得ない」(出典:日の出前(1946)〈太宰治〉)
    2. 最も。何より。別して。
      1. [初出の実例]「一ちばんすきなしたみ酒」(出典:咄本・無事志有意(1798)拳酒)
      2. 「一番先に見付けたものが」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉一)

ひと‐つがい‥つがひ【一番】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 動物の雌雄一対。
    1. [初出の実例]「ひとつがひ侍けるつるのひとつがなくなりにければ」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)哀傷・一四二三・詞書)
  3. 番舞(つがいまい)で、左方と右方とが各一曲ずつ奏すること。〔楽家録(1690)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

岩石学辞典 「一番」の解説

一番

石目rift)と同じ.横断節理(cross joint)に対応する.

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

今日のキーワード

ビャンビャン麺

小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...

ビャンビャン麺の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android