( 1 )③④は現在では、多く「不承」と書く。しかし、歴史的に見れば、「承」は合音ショウであるのに対し、「請」は開音シャウであって、開合が一致しない。「不承」の字が当てられるようになったのは、この開合の区別が失われた近世になってからのことと考えられる。
( 2 )橋本進吉は、「日葡辞書」の「Fuxǒ」の項の例文として、「不祥」とみるべき「Fuxǒna(フシャウナ) メニ ワウ」と「不請」とみるべき「Fuxǒbuxǒni(フシャウブシャウニ) スル」とが挙げられていること、宝永三年(一七〇六)の「浮世草子・風流曲三味線‐一」で「不請」の意味で「不祥」を用いていることなどから、室町末期には両者共に「不祥」と書いたのかもしれないと推定している。しかし、「文明本節用集」などでは両者を区別しているので、なお検討を要する。
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