其処等(読み)そこら

精選版 日本国語大辞典 「其処等」の意味・読み・例文・類語

そこ‐ら【其処等】

  1. ( 「ら」は接尾語 )
  2. [ 1 ] 〘 代名詞詞 〙 他称。
    1. ( 中称の指示代名詞「そこ」に接尾語「ら」を付けて広くさす意に用いたもの ) 自分側に属さない場所をばくぜんとさし示す(中称)。そのへん。そのあたり。
      1. [初出の実例]「徇斉徇とは、そこらうちまわりて、ここは燕の所飲ぢゃぞ、心得よと云て、法命を下す」(出典史記抄(1477)一二)
      2. 「垢かき流し、なをそれよりそこらも糠袋にみだれて」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)一)
    2. 話題の事物をさし示す(中称)。その点。その事。
      1. [初出の実例]「已日━物を改ることをば、人がちゃっとうけごわぬぞ。そこらも終た所ならでは人が信ぜざる者ぞ」(出典:土井本周易抄(1477)五)
      2. 「預けて置たわき指は、そこらは抜からぬわしが腰にさいて居る」(出典:浄瑠璃・丹波与作待夜の小室節(1707頃)中)
  3. [ 2 ]
    1. ( 多く数量を表わす語に付いて ) ばくぜんとそれと推しはかった量や程度を示す。
      1. [初出の実例]「まだマア、今やそこらの事にゃいけそもござりませぬ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
      2. 「月の貌としは十三そこらかな」(出典:俳諧・一茶発句集(1829)下)
    2. ばくぜんと推しはかったその人の考えや、状態をさす。
      1. [初出の実例]「ああ、それでか? 成程、兄貴の事なら無論其所等(ソコラ)に違無い!」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏)

そこ‐いら【其処等】

  1. [ 1 ] 〘 代名詞詞 〙 ばくぜんと相手がわの場所をさし示す(中称)。そのあたり。そこら。
    1. [初出の実例]「そこいらの飴だと親父目が黒し」(出典:雑俳・柳多留‐四三(1808))
    2. 「深く埋めた中から水が湧き出て、そこいらの稲に水がかかる仕掛であった」(出典:坊っちゃん(1906)〈夏目漱石〉一)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 多く数量を表わす語に付いて ) ばくぜんと、それとおしはかった量や程度を示す。そのくらい。その前後。そこら。
    1. [初出の実例]「一年そこいらも月日が経過(たつ)と、すぐに前の事アわすれてしまふ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉一七)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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