精選版 日本国語大辞典 「口付」の意味・読み・例文・類語
くち‐つき【口付】
〘名〙
① 口の形。口もとの様子。
※落窪(10C後)一「口つき愛敬(あいぎゃう)づきて、少しにほひたる気(け)つきたり」
② ものの言い方。しゃべり方。また、うたい方。
※宇津保(970‐999頃)国譲下「車のくちつきども、装束整へ」
くち‐づけ【口付】
〘名〙
① 言いなれること。口ぐせ。
※七十一番職人歌合(1500頃か)七一番「いつまでか待宵ごとの口つけにあすやあすやといふをたのまむ」
※引照新約全書(1880)馬太伝福音書「我が接吻(クチツケ)する者は夫(それ)なり」
③ 口をつけること。飲むこと。
[補注]②は、明治初年の新約聖書翻訳委員による訳語という。
くち‐づ・く【口付】
[1] 〘自カ四〙
① 口に言いなれる。口ぐせとなる。
※十訓抄(1252)六「皆人口つきたる物語なれば、委(くは)しく書き述ぶるに及ばず」
② ことばをしゃべりはじめる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 以前には食べられなかったものが、しだいに食べられるようになる。ある食物が口に慣れる。
[2] 〘他カ下二〙 ⇒くちづける(口付)
くち‐づ・ける【口付】
〘他カ下一〙 くちづ・く 〘他カ下二〙
① 口ぐせに言う。言いならす。
※発心集(1216頃か)七「常はかの浄心信敬不生疑惑者の文を口付け、ことぐさとせり」
② 他のものに唇をつける。接吻する。
※続女ひと(1956)〈室生犀星〉女ごのための最後の詩集・とらへられざるままに「ちがった顔とすがたの、おんがくが接吻(クチヅケ)られないごとく」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報