只管(読み)ヒタスラ

デジタル大辞泉 「只管」の意味・読み・例文・類語

ひた‐すら【只管/一向】

[形動][文][ナリ]そのことだけに意を用いるさま。もっぱらそれだけを行うさま。「―な思い」「―に弁解する」
[副]
ひとすじに。いちずに。「―研究にいそしむ」「―無事を祈る」
まったく。すっかり。
「身をば―、え捨て侍らぬものなれば」〈狭衣・一〉
[用法]ひたすら・いちず――「ひたすら(いちずに)芸に励む」「ひたすら(いちずに)歩き続ける」など、そのことに専念する意では、相通じて用いられる。◇「ひたすら」は、もっぱらそのことだけを行う意で用いることが多い。「ひたすらおわびいたします」「ひたすらお願いするしかなかった」◇「いちず」は気持ちのあり方に重点があり、他を顧りみず、一つの事柄だけに打ち込む意で用いることが多い。「いちずに思い込む」「勉学いちずの毎日」◇類似の語に「ひたむき」がある。脇目もふらず一つの事に熱中する意で、「いちず」に近い。「ひたむきな態度」「ひたむきに生きる」
[類語]無性にやたらむやみみだりむやみやたらめったやたらめったやみくもあまり無下に後先なし無謀無鉄砲めくら滅法盲目的後先見ず向こう見ず好き勝手ほしいまま切実切切痛切つくづくつらつらひしひししみじみこころからしんから心が動くこよなくぞっこんじいん度外れめっぽう途方もない途轍とてつもない桁違い過度すごくひどいはなはだこの上ないとても特別ことさら1いちずひたむき一筋ただただただ専一ひとえに一心一念一路一散一目散一直線一本槍一点張り一辺倒一意専心営営せっせ遮二無二無二無三がむしゃら一心不乱脇目も振らずまっしぐらしゃかりきしゃにむに無心粉骨砕身無我夢中熱中夢中直線的専心専念没入没頭没我傾注傾倒猪突猛進ストレート我を忘れるこんを詰める身を入れる身を砕く心血を注ぐ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「只管」の意味・読み・例文・類語

ひた‐すら【只管・一向】

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 そのことだけに意を用いるさま。いちずであるさま。ひたそら。
    1. [初出の実例]「我今、当に永(ヒタスラニ)去なむ」(出典:日本書紀(720)神代上(兼方本訓))
    2. 「何事も、師匠の、教へに、順ひて、只管に勉強すべし」(出典:小学読本(1873)〈田中義廉〉一)
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. もっぱらそのことに集中するさま、その状態に終始するさまを表わす語。いちずに。ただただ。
      1. [初出の実例]「あふまでのかたみばかりと見しほどに ひたすら袖の朽ちにけるかな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
      2. 「思ひもよらぬ縁談に、お政は只管(ヒタスラ)呆るるのみ」(出典:人情本・清談若緑(19C中)初)
    2. 完全にその状態であるさまを表わす語。まったく。まるっきり。
      1. [初出の実例]「あるはひたすらなくなり給、あるはかひなくて、はかなき世にさすらへ給ふも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)朝顔)
      2. 「つれなき事を申物哉とて、ひたすら聞入れ給はず」(出典:俳諧・父の終焉日記(1801)五月一二日)

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普及版 字通 「只管」の読み・字形・画数・意味

【只管】しかん(くわん)

ひたすら。宋・成大〔去年、雪多く苦寒す。梅花遂に晩し。~〕詩 只管(ひたすら)に吟す、三尺 (なん)ぞ知らん、把ることを遲(ま)つ、一枝の春

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