奥州(読み)おうしゅう

精選版 日本国語大辞典 「奥州」の意味・読み・例文・類語

おう‐しゅう アウシウ【奥州】

[一] 陸奥国の異称。旧白河・勿来関以北。現在の福島・宮城・岩手・青森の四県と秋田県の一部にあたる。明治元年一八六八)、磐城・岩代・陸前・陸中・陸奥の五か国に分かれる。
[二] 奥羽地方東北地方)全域をさす。

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デジタル大辞泉 「奥州」の意味・読み・例文・類語

おう‐しゅう〔アウシウ〕【奥州】

陸奥むつの異称。白河勿来なこその関から北の磐城いわき岩代陸前陸中陸奥むつ5か国の総称。現在の福島・宮城・岩手・青森の4県と秋田県の一部にあたる。
[補説]市名別項。→奥州

おうしゅう【奥州】[岩手県の市]

岩手県南部にある市。中心の水沢地区は、江戸時代は伊達氏支藩の支配地で、幕末に高野長英箕作省吾みつくりしょうごなどが輩出。胆沢いさわ趾・日高神社・国立天文台水沢観測所(旧水沢緯度観測所)がある。南部鉄器やたんすの製造が盛ん。平成18年(2006)2月に水沢市江刺市前沢町胆沢町衣川村が合併して成立。人口12.5万(2010)。→奥州

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改訂新版 世界大百科事典 「奥州」の意味・わかりやすい解説

奥州[市] (おうしゅう)

岩手県南西部の市。2006年2月江刺(えさし)市,水沢(みずさわ)市と胆沢(いさわ)町,前沢(まえさわ)町および衣川(ころもがわ)村が合体して成立した。人口12万4746(2010)。

奥州市中西部の旧町。旧胆沢郡所属。人口1万7302(2005)。北東は旧水沢市,西は秋田県に接する。東西に細長い町域をもち,西部は奥羽山脈の山岳地帯,中央部は胆沢川がつくる胆沢扇状地,東部は北上川の沖積地となっており,胆沢扇状地には典型的な散村集落が展開する。1617年(元和3)に伊達政宗の家臣でキリシタン後藤寿庵が胆沢川の水を引いて寿庵堰を開削してから扇状地の開発が始まった。1953年胆沢川上流に石淵ダムが完成して扇状地の土地改良が進み,県内有数の穀倉地帯となった。農業が基幹産業で,米作に畜産,野菜を加えた複合経営が行われ,胆沢米,陸中牛,胆沢ピーマンなどの主産地となった。埴輪をともなう古墳としては日本最北端にあたるとされる角塚古墳があり,渓谷美で名高い焼石岳一帯は栗駒国定公園に含まれる。
執筆者:

奥州市北東部の旧市。北上川中流の東岸にある。1955年に江刺郡岩谷堂町と愛宕(あたご),田原,藤里,伊手,米里,玉里,梁川,広瀬,稲瀬の1町9村が合体して江刺町となり,58年に市制。人口3万2544(2005)。中心部の岩谷堂は北上川の支流人首(ひとかべ)川の谷口集落で,中世には葛西氏の一族江刺氏の城下町となり,江戸時代は仙台藩北端の要衝であった。また北上川舟運の河港下川原をひかえ,遠野・気仙方面との交易中心地として岩谷堂商人の名をあげた。天保年間(1830-44)からの伝統を誇る岩谷堂たんすが特産。1890年開通した東北本線からはずれてからは水沢に繁栄を奪われた。北上川沿いの沖積地帯は江刺金札米で知られた良質米(ササニシキが中心)の産地で,東部北上高地の台地などでは,昭和30年代から酪農業が盛んとなり,特に肉牛の陸中牛は年々評価を高めている。昭和50年代からは江刺中核工業団地の造成が進められ,一般機械工業の製造品出荷額が全体の4割近く(1995)を占めている。愛宕神社の木造兜跋(とばつ)毘沙門天立像(重要文化財)などがあり,剣舞,鹿(しし)踊など郷土芸能の宝庫でもある。
執筆者:

奥州市南西部の旧村。旧胆沢郡所属。人口4955(2005)。南は平泉町,一関市に接し,西部は奥羽山脈東縁の山地が広がる。北部を北股川,南部を南股川が東流し,東部で合流して衣川となる。789年(延暦8)衣川柵が付近に設けられ,前九年の役,後三年の役の戦場となり,安倍・藤原両氏にまつわる史跡が残る。農業が主産業で,米作,畜産が行われ,近年はキュウリ,イチゴなどの栽培も盛ん。第2次大戦前は軍用馬の産地であった。郷土芸能が数多く伝わり,川西の念仏剣舞や大森子供神楽などが著名である。国道4号線が通る。

奥州市南部の旧町。旧胆沢郡所属。人口1万5131(2005)。北は旧水沢市に接する。中央部には北上川が南流して肥沃な沖積地が開ける。西部は胆沢扇状地の扇端部にあたり,国道4号線,JR東北本線,東北自動車道が通じる。東部は北上高地南西端の束稲(たばしね)山北麓一帯で,東北新幹線が走る。主集落の前沢は,江戸時代に奥州街道の宿駅,北上川舟運の河港として栄えた。県内の穀倉地帯の一角を占め,前沢牛として知られる畜産,野菜栽培が盛んである。東北自動車道平泉前沢インターチェンジもあり,近年多くの工場が進出して,製造業の発展が著しい。奥州藤原氏のひざもとの地で,関連する史跡・文化財も多い。
執筆者:

奥州市中部の旧市。北上盆地の中南部にある。1954年市制。人口6万0239(2005)。中央部を北上川が南流し,西部は奥羽山脈から東流する胆沢川がつくった胆沢扇状地が広がり,扇端は崖状をなして北上低地に臨む。803年(延暦22)坂上田村麻呂が佐倉河に胆沢城を築き,東北経営の基地とした。近世には水沢に伊達氏の支藩が置かれ,寛永期(1624-44)伊達氏の家臣留守氏が臥牛(がぎゆう)城に居住し,その城下町として発展,幕末から明治にかけて高野長英,箕作(みつくり)省吾,後藤新平,斎藤実などの人材が輩出している。〈水沢米〉を産する県の穀倉地帯で,リンゴ栽培や酪農も行われる。羽田(はだ)地区の田茂山には伝統的な鋳物工業がある。JR東北本線が通じる。東北自動車道,東北新幹線(水沢江刺駅が所在する)が開通し,県南の流通拠点としての機能を果たしている。1899年開設の国立水沢緯度観測所(北緯39°08′03″。現,国立天文台水沢VERA観測所)は,国際極運動観測事業の中央局の一つとして知られる。天台宗の名刹黒石寺で2月に行われる蘇民祭は,裸の若者が神札を奪い合って疫病よけと豊作を祈願する祭りである。4月の日高神社の火防祭には豪華な囃子屋台が繰り出す。陸中の一宮駒形神社がある。
執筆者:

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「奥州」の解説

奥州
(通称)
おうしゅう

歌舞伎・浄瑠璃の外題。
元の外題
けいせい浅間岳
初演
享保9.2(江戸・中村座(七三郎十七回忌追善興行))

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

藩名・旧国名がわかる事典 「奥州」の解説

おうしゅう【奥州】

陸奥国(むつのくに)

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世界大百科事典(旧版)内の奥州の言及

【東北地方】より

…大化改新以後,日本海側に出羽国,太平洋側に陸奥国がつくられ,東山道に属した。両国の総称として奥羽,あるいは奥州と呼ばれたこの地域は,当時の他の国々と比べ著しく大きな国で,その後12世紀にわたってこの2国制が続いた。古代の城柵は日本海側では高清水(現,秋田市),太平洋側では多賀城(現,宮城県多賀城市)に置かれ,蝦夷経営の拠点となった。…

【陸奥国】より

…旧国名。奥州。現在の福島県,宮城県,岩手県,青森県の全域と秋田県の一部。…

※「奥州」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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