寂寞(読み)セキバク

デジタル大辞泉 「寂寞」の意味・読み・例文・類語

せき‐ばく【寂×寞】

[ト・タル][文][形動タリ]
ひっそりとして寂しいさま。じゃくまく。
人居を遠く離れた―たる別世界にも」〈柳田・山の人生
心が満たされずにもの寂しいさま。じゃくまく。
斯ういう―たる団欒だんらんの中に」〈漱石行人
[類語]寂寥せきりょう索漠さくばく落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう寂しい徒然つれづれ徒然とぜん手持ち無沙汰退屈所在ない持て余す無聊ぶりょうひま手透き手明き用無し閑散開店休業

じゃく‐まく【寂×寞】

[名・形動]ひっそりしていてさびしいこと。また、そのさま。せきばく。
「何となく斯う―な瞑想に耽って居るようで」〈藤村破戒
[ト・タル][文][形動タリ]さびしく、静かなさま。
路上の小砂利が―とした光の中に」〈二葉亭訳・片恋

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寂寞」の意味・読み・例文・類語

せき‐ばく【寂寞】

〘形動タリ〙 ひっそりとしてものさびしいさま。寂歴。じゃくまく。
懐風藻(751)和藤江守詠裨叡山先考之旧禅処柳樹之作〈麻田陽春〉「寂寞精禅処。俄為積草
読本椿説弓張月(1807‐11)残「声のみ高き深山辺(みやまべ)は、寂寞(セキバク)として物もなし」 〔楚辞‐遠遊〕

じゃく‐まく【寂寞】

〘名〙 (形動ナリ・タリ) (「じゃく」「まく」はそれぞれ「寂」「寞」の呉音) ひっそりとしてものさびしいこと。また、そのさま。せきばく。
梁塵秘抄(1179頃)二「寂まく音せぬ山寺に、法華経誦して僧居たり」
※俳諧・奥の細道(1693‐94頃)立石寺「佳景寂寞(じゃくまく)として心すみ行のみおぼゆ」

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