博徒が経営する賭博場で賭金に応じてとる手数料のこと。語源については諸説あるが,江戸時代に取締りがゆるやかだった寺社奉行支配下の寺社の境内に,仮設の賭博場をつくり,賽銭勘定場と称し,手数料のもうけを寺へ寄進する形式をとったことに由来するという。のちに一般の賭博場でも寺銭というようになった。関西ではカスリともいう。さいころ丁半賭博の賭場では,勝った客が取得する金額の5%を寺銭とし,2個のさいころがゾロ目といって同じ目になったときだけ,10%の寺銭をとった。賭けをする敷物を盆茣蓙(ぼんござ)といい,その計算が迅速にできないと〈ぼんくら(盆暗)〉といわれた。第2次大戦後はバッタマキという花札3枚ずつでする賭博で,3枚の札の数の合計が10あるいは20になるとブタといい,そのときだけブタハンと称して50%の寺銭をとり,他は寺銭なしの賭場もあった。なお,尾佐竹猛《賭博と掏摸の研究》では,寺銭の〈てら〉はどてら(褞袍)などの〈てら〉と同義で布とか蒲団の意味を包含し,転じて盆茣蓙の意となり,盆すなわち賭博権の使用料,あるいは賭博開帳料となったのではないかと思われるとしている。
執筆者:加太 こうじ
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賭博(とばく)の開帳者が勝負のつど客からとる手数料。賭博の開帳者が手数料を徴収することは、平安時代から博徒の発生とともに行われていた。寺銭という名称は江戸時代につくられたもので、その由来については、寺で賭博を開帳したから、寺の建立費にあてたからなどといわれるが、盆の上を白い布で覆うところから、褞袍(どてら)のてらと同じく、布をてらといい、盆茣蓙(ござ)の上の手数料という意味でてら銭といったとする説がうなずける。寺銭は勝ったほうからとるが、賭(か)け金の四分が原則で、ほかに、六の目がそろったときは1割、二つの目がそろったとき、または丁で2、4、6、半で7の目数が出たときだけとるなどいろいろな方法が行われている。寺銭は、その賭博場を縄張りとする親分が開帳したときの名称で、他人の縄張りを借りて開帳したときは「かすり」といい、親分が隠居したのち新しい親分から隠居料として利益の何割かを受け取るのを「こく取り」という。
[倉茂貞助]
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