対応(読み)タイオウ

デジタル大辞泉 「対応」の意味・読み・例文・類語

たい‐おう【対応】

[名](スル)
同種の二つのものが向かい合い、ついになっていること。「四辺形の互いに対応する角」
ある物事が、他の範疇はんちゅうに属する物事と、対立・相当する関係にあること。「ギリシャ文字αアルファは、ローマ字a対応する」
互いにつりあいがとれていること。「文章の書き出しと結びを対応させる」
周囲の状況などに合わせて事をすること。「現実に対応した処置」「対応策」
二つの集合ABがあって、Aのどの要素にも、Bの要素が少なくとも一つ定まる規則があること。ふつう、AからBへの対応という。
[類語](2相応相当応分分相応適当適切適正適確至当妥当穏当好適適合合致即応正当順当ぴったりそれなりころ合い程合い手頃てごろ適う適する合う沿うそぐう当てはまる当を得る値する見合う似合う兼ね合い均衡平衡バランスマッチ等しい符合一致吻合ふんごう整合暗合該当適応順応照応同質同列同等等質元元対等同級等し並み同席同位同じ同一等価均等一律一様イコール互角五分伯仲五分五分おっつかっつ拮抗きっこうどっこいどっこいとんとん匹敵比肩伍する相半ばする肩を並べる勝るとも劣らない並び立つ負けず劣らずいずれ劣らぬ似たり寄ったり並ぶ団栗どんぐりせい比べ双璧ちょぼちょぼ甲乙付け難い雁行一進一退鍔競つばぜり合い竜虎相追いつ追われつ抜きつ抜かれつ競り合うせめぎ合う攻防一歩も引かぬ一緒同前同然同上同類共通同様そのまま/(4対処収拾善処後始末尻拭い適応適合該当相当即応順応照応慣らす

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精選版 日本国語大辞典 「対応」の意味・読み・例文・類語

たい‐おう【対応】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 互いに向かい合うこと。相対すること。〔和漢大辞典(1919)〕
  3. ある一つの物事が、他の種類、範疇の物事に対して、対立、上位・下位並列などの関係にあること。
    1. [初出の実例]「最初は『裸像』といふ同人雑誌へ、つぎは『驢馬』といふ同人雑誌へ、最後にはいろんなプロレタリヤ的な新聞雑誌へ書いた。第一部、第二部、第三部が、それに対応するわけではないが」(出典:中野重治詩集(1935)〈中野重治〉序)
  4. 二つの異なるものや性質が、よくつり合いのとれていること。
  5. 相手の出方や状況に応じてそれにふさわしく行動すること。
    1. [初出の実例]「渠(かれ)砲艦に対応(タイオウ)すべき砲台の設け甚だ乏しく」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉四)
  6. 数学で、一つの集合の各要素を第二の集合の要素にそれぞれ結びつける規則。ふつう、AからBへの対応という。→関数写像

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改訂新版 世界大百科事典 「対応」の意味・わかりやすい解説

対応 (たいおう)
correspondence

集合Aから集合Bへの写像fは,Aの各元aに,それぞれBの一つの元bを定め,fa)=bと表すことができる。さて,AからBへの対応Γとは,この写像の考え方を拡張して,Aの各元aに,Bのいくつかの元,すなわち,Bの(空集合も含めた)部分集合Γa)を定め,“多対多”になることを許したものである。例えば,実数aに対し,x2a2-1を満たすすべての実数xを考えると,|a|<1では空集合,a=1,-1では{0},|a|>1ではが定まり,実数から実数へ,一つの対応ができる。ΓAからBへの対応であるとき,直積A×Bの部分集合{(ab)|aAbΓa)}を考えることができ,この集合を対応Γグラフという。また,Bの各元bに,bΓa)であるようなAの元a全体のつくる部分集合⊿(b)={aAΓab}を定めると,BからAへの対応⊿が得られる。この対応を,Γ逆対応といい,Γ1で表す。(Γ1)⁻1Γである。さらに,写像の場合と同様に,(対応の)像,逆像合成が定義され,(合成の)結合法則も成り立つ。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「対応」の意味・わかりやすい解説

対応
たいおう
correspondence

関係P(x,y)が与えられたとき、xに対してこの関係を満足するyが何個か定まる。つまり、xとyの組が関係P(x,y)を満足するとき、yはxにこの関係で対応しているという。たとえば、実数の間の関係x2+y2=1のような場合にはxが3/5ならばyは4/5と-4/5の二つがある。しかし、xが2のときは、これに対応するyは存在しない。また、x=yはxにそれ自身を対応させており、恒等対応とよばれている。

 P(x,y)となるyが存在するxの全体をこの対応の定義域、そのようなxが存在するyの全体をその値域とよぶ。定義域に属する任意のxに対してただ一つのyが対応しているとき一価な対応という。このような場合xにただ一つ決まるyを対応させる写像fが定まる。すなわちP(x,y)はy=f(x)と同値な関係となる。一価な対応をもって単に対応とよぶことがある。さらに値域に属する任意のyに対してただ一つのxが定まるとき、この対応は一対一対応とよばれる。これは全単射というのと同値である。いままでP(x,y)のxにyを対応させたが、逆にyにxを対応させることもできる。これをもとの対応の逆対応とよぶ。P(x,y)およびQ(y,z)によって定められる二つの対応の積は、xに対してP(x,y)かつQ(y,z)となるyが存在するようなzを対応させるものである。

[難波完爾]

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百科事典マイペディア 「対応」の意味・わかりやすい解説

対応【たいおう】

普通は関数の概念を拡張した写像と同義に扱われるが,もっと広く,多価関数の概念の拡張をも含む。つまり,二つの集合M,Nにおいて,MからNへの対応Γとは,Mの各元xにNの部分集合Γ(x)を定め,〈多対多〉となることを許したもの。ΓがMからNへの対応であるとき,直積(直積集合)M×Nの部分集合G={(x,y)|x∈M,y∈Γ(x)}をこの対応Γのグラフという。また,(x,y)∈Gとなるようなyが存在するxの集合D(⊆M)を対応Γの定義域といい,(x,y)∈Gとなるようなxが存在するyの集合R(⊆N)をΓの値域という。→1対1対応

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「対応」の意味・わかりやすい解説

対応
たいおう
correspondence

数学用語。関数写像などと類似の概念で,ときに混用する。ただし,対応という場合には,必ずしも一意性を要求しない。数学的な形式としては,集合 AB について,積集合 A×B の部分集合 R をグラフとして定義できる。このとき,集合 A に属する任意の元 x には R(x)={y|(xy)∈R} の各点が対応するわけである。主として,代数幾何学で R が曲線であるときのように,多対多の対応を論じる必要のある場合に用いる。

対応
たいおう

音韻対応」のページをご覧ください。

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普及版 字通 「対応」の読み・字形・画数・意味

【対応】たいおう

相応ずる。

字通「対」の項目を見る

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