デジタル大辞泉
「幼」の意味・読み・例文・類語
いと【▽幼】
[名]《近世上方語》幼児。男女の区別なく用いたが、後期には女児をさすようになった。
「お生まれなされた―様(=男児)の」〈浄・布引滝〉
「向かひの嬶や隣の―(=女児)なぞ対手にして」〈滑・浮世風呂・四〉
[接頭]名詞に付いて、おさない、いとけない、の意を表す。
「―姫君二つ三つばかりにておはしませば」〈栄花・初花〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
おさ‐な・い をさ‥【幼】
〘形口〙 をさな・し 〘形ク〙 (「長無(をさな)し」の意)
① 考えが未熟である。おろかである。しっかりした
思慮分別がない。
※
書紀(720)仁徳即位前(前田本訓)「我
(おのれ)、不賢
(ヲサナシ)と雖も、豈、先
(さき)の帝の命
(おほむことのり)を棄てて、輙く弟王
(いろとのみこ)の願に従はむや」
② いかにも子供子供したさまに見える。子供らしい様子である。子供っぽい。幼稚である。
※土左(935頃)承平五年一月二二日「年九つばかりなる男(を)の童(わらは)、年よりはをさなくぞある」
③ 小さい。幼少である。年齢がごく若い。
※竹取(9C末‐10C初)「まだをさなければ籠(こ)に入れて養ふ」
④ ものごとの達成度が未熟である。未発達である。
※
人工衛星も現実である(1958)〈
荒正人〉「人間の幸福は、技術がまだ幼かった昔の時代に、これを求めることができる」
おさな‐げ
〘形動〙
おさなげ‐さ
〘名〙
おさな‐さ
〘名〙
おさ‐な をさ‥【幼】
[1] (形容詞「おさなし」の語幹)
(イ)
感動詞「あな」を伴ったりして感動文を作り、「幼いことよ」「子供子供していることよ」の意を表わす。
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「なににかおぼしいるる。あなおさな」
(ロ) 下に「の」を添えて
連体修飾語を作る。幼いこと。幼いさま。
※
源氏(1001‐14頃)宿木「げにあが君や、をさなの御物言ひやな」
[2] 〘名〙
※俳諧・おらが春(1819)「此おさな、仏の守りし給ひけん」
よう エウ【幼】
〘名〙 (形動) おさないとき。また、おさない者やおさないさま。
※
続日本紀‐養老三年(719)一一月乙卯「神叡法師。幼而卓絶」
※
歌謡・松の葉(1703)跋「幼
(ヨウ)より習はさざりし恨
(うらみ)も今更なり」 〔
礼記‐曲礼上〕
おさなく をさなく【幼】
〘名〙 (形容詞「おさない」の連用形が名詞化したもの) 幼い時。
※更級日記(1059頃)「姉なる人、子産みて亡くなりぬ。よその事だに、をさなくより、いみじくあはれと思ひわたるに、ましていはむ方なく、あはれに悲しと思ひ嘆かる」
おさ‐なし をさ‥【幼】
※日葡辞書(1603‐04)「Vosanaxij(ヲサナシイ) コトヲ ユウ」
おさあ・い をさあい【幼】
〘形口〙 「おさない(幼)」の変化した語。
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「三人のをさあひ人どもの、しゃうぞくまでもくだされければ」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報