デジタル大辞泉
「更に」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
さら‐に【更に】
〘副〙
①
一つの
事実が、もう一度繰り返し成り立ち、あるいは他の
類似の事実に加わって成り立つことを表わす。重ねて。加えて。もう一度。
※続日本紀‐天平神護元年(765)三月五日・宣命「
淡路に侍り坐
(ま)す人を率て来て、左良
仁(サラニ)帝と立てて」
② 一つの事実が、時間の経過と共にその程度を増すことを表わす。いっそう。ますます。
※
古事記(712)上「それより
以後(のち)は、稍兪
(やや)に貧しくなりて、更
(さら)に荒き心を起して迫
(せ)め来ぬ」
③ 一つの事実が決定的となった時点で、その事実への拒否、抵抗、
疑惑などの感情が、もはや新鮮な意味を失ったことを表わす。今さらのように。事新しく。ことあらためて。いまさら。
※枕(10C終)一四二「いでさらに、言へば世の常なり」
※
源氏(1001‐14頃)若菜上「さらになにごとをかは疑ひ侍らむ」
④ 一つの事実が、もはや決定的に成立しがたい、という強い否定の
気持を表わす。
二度と(…しない)。絶対に(…でない)。全く(…ない)。さらにさらに。
※古事記(712)下「然らば更(さら)に為むすべ無し。今は吾を殺(し)せよ」
※
土左(935頃)承平五年二月一六日「このかは、
あすかがはにあらねば、ふちせさらにかはらざりけり」
⑤ あまり好ましくなく名誉でない一つの事実が、決定的に完全に成立することを認める
肯定の気持を表わす。いやでも。すっかり(…してしまった)。
※枕(10C終)一四三「御返りごと書きてまゐらせんとするに、この歌の本(もと)さらにわすれたり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報