ウメの実を塩づけにすると,食塩の作用で浸透圧が高くなり,細胞の原形質分離が起こって浸出液が出る。食塩を溶かしこんだこの浸出液が梅酢で,きわめて酸味が強い。酸味の主体はクエン酸である。《和名抄》には塩梅(えんばい)を〈梅酢也〉としており,この塩梅がやがて〈あんばい〉と読まれて味かげんを意味するようになった。梅酢はそれほど重要な調味料であったといえよう。梅干しをつくるための下づけで得られるのを白梅酢,赤ジソの葉を加えシソニンshisoninによって鮮紅色になったものを赤梅酢と呼ぶ。いずれも何年でも保存ができ,前者は夏まけや下痢どめの民間薬とされ,後者はショウガ,ミョウガ,ダイコンなどをつけ込み食用に供せられる。
執筆者:菅原 龍幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
塩漬けしたウメの実から出てきた汁で、酸味料の一種。ウメの実を塩漬けにし、重石(おもし)をかけ、約2週間程度置くと出てくる、やや黄色を帯びた汁である。ウメの中に多く含まれるクエン酸が主体の、非常に酸味の強い酢である。この酢は白梅酢(しろうめず)とよばれ、これに、塩もみしたアカジソの葉を加え、赤色になったものを赤梅酢(あかうめず)あるいは紅梅酢(こうばいず)という。白梅酢は梅漬け用のほか、胃腸によいとして、あるいは暑気あたり用として、古くから薬用に用いられてきた。赤梅酢はショウガ、ミョウガ、ダイコンなどの野菜の酢漬けに用いられる。このほかイワシなどの魚や、蓮根(れんこん)のような根菜の煮物にも使用される。
[河野友美・大滝 緑]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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