泔坏(読み)ユスルツキ

デジタル大辞泉 「泔坏」の意味・読み・例文・類語

ゆする‐つき【××坏】

ゆするの水を入れる器。古くは土器、のちには漆器銀器などを用いた。
「いでし日つかひし―の水は、さながらありけり」〈かげろふ・上〉

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精選版 日本国語大辞典 「泔坏」の意味・読み・例文・類語

ゆする‐つき【&JISEBDA;坏】

  1. 泔坏〈伴大納言絵詞〉
    泔坏〈伴大納言絵詞〉
  2. 〘 名詞 〙 泔に用いる坏。泔の水を入れる器。古くは土器、後には漆器や銀器など。ゆすりつき。鬢盥(びんだらい)
    1. [初出の実例]「いでし日つかひしゆするつきの水は、さながらありけり」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)

ゆすり‐つき【&JISEBDA;坏】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ゆずりづき」とも ) =ゆするつき(泔坏)
    1. [初出の実例]「晴経御ゆすりつきのすわりたる柳筥の上に、御笄と御櫛の歯を外へなして置」(出典:光源院殿御元服記(1546))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「泔坏」の意味・わかりやすい解説

泔坏
ゆするつき

頭髪を洗いくしけずる水を入れる器。古くは陶製で、のち木製漆塗りや銀製のものがあったが、平安時代には、銀製の椀(わん)に蓋(ふた)をつけ、茶托(ちゃたく)状の台を添え、さらに五葉入角(いりずみ)の形に梨地蒔絵(なしじまきえ)で装飾し、上敷きに紐(ひも)を垂らしている形にしている(『類聚雑要抄(るいじゅうぞうようしょう)』)。また京都御所清涼殿朝餉間(あさがれいのま)には諸調度とともにその実物がみられる。なお泔坏に入れる水には米のとぎ汁が使用されていた。

[郷家忠臣]

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