皇(漢字)

普及版 字通 「皇(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 9画

[字音] コウ(クヮウ)・オウ(ワウ)
[字訓] きみ・かがやく

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
王の上部に玉飾を加えている形。王は鉞頭の象。刃部を下にして玉座におき、王位の象徴とする。その柄を装着する首(きようしゆ)の部分に玉を象嵌して加え、その光が上に放射する形であるから、煌輝の意となる。〔説文〕一上に「大なり」と訓し、字形を自王に従うものとし、自は鼻首、はじめの意で、はじめて王たるもの、三皇の意とするが、上部は玉の光輝を示す形である。神霊をいうときの美称に用い、〔楚辞、離騒〕に「皇(神霊)、(えんえん)として其れ靈を揚ぐ」とは、神霊のかがやくことをいう。金文の〔宗周鐘〕に「皇上、余(われ)小子を保つ」とあり、皇天のほか、皇祖皇考・皇文考・皇祖皇妣のように祖考の上に加えていう。また聖職者に対して、召公(せき)を「皇天尹大保」のようにいい、辟君にも皇辟君のようにいうことがある。〔競(きようゆう)〕に「競(人名)を皇(かがや)かさんとして官に各(いた)る」のように動詞に、また〔詩、小雅、楚茨〕に「先是れ皇(おほ)いなり」のように形容詞に用いる。

[訓義]
1. 王位の象徴たる玉飾の鉞(まさかり)、きみ、王、天子、神、神霊。
2. その関係の語に修飾語として加える。
3. かがやく、ひかる、美しい、はなやか。
4. 大きい、かざる。
5. 匡と通じ、ただす。
6. 遑・徨と通じ、いとま、あわただしい。
7. 惶と通じ、あわて、おそれる。
8. 況と通じ、いわんや。

[古辞書の訓]
名義抄〕皇 タダス・オホイナリ・オホキナリ・キミ・タダシ/皇天 スベラキ/皇矣 オホイナルカナ

[声系]
〔説文〕に皇声として・煌・惶など十字を収める。煌は皇の声義を承ける。は小児の声で擬声語。惶・遑は形況の語である。

[語系]
皇・・徨huangは同声。徊hui、桓huanも声近く、方皇(彷徨)・盤桓などの畳韻の語は、その系列の語である。

[熟語]
皇威皇維・皇皇彝皇胤・皇運皇裔・皇王皇媼・皇恩・皇化皇駕・皇・皇基・皇器皇畿・皇機・皇・皇儀皇穹・皇急皇宮皇舅・皇居皇遽・皇恐・皇業・皇極皇懼皇衢・皇家・皇京・皇軒・皇乾・皇姑・皇・皇后・皇考・皇綱皇皇・皇号・皇佐・皇尸・皇子・皇嗣・皇慈・皇室・皇質・皇寿・皇州・皇上・皇城・皇情・皇神・皇親・皇仁・皇枢・皇政・皇清・皇聖・皇祚・皇宗・皇族・皇孫・皇代・皇沢・皇闥・皇冑・皇・皇張・皇鳥・皇朝・皇帝・皇廷・皇弟・皇邸・皇天・皇図・皇都・皇度・皇統・皇堂・皇道・皇徳・皇波・皇伯・皇駁・皇妣・皇妃・皇舞・皇風・皇墳・皇辟・皇眄・皇・皇命・皇明・皇・皇・皇輿・皇陵・皇僚・皇綸・皇霊・皇路
[下接語]
皇・王皇・皇・娥皇・漢皇・戯皇・教皇・玉皇・勤皇・軒皇・元皇・后皇・三皇・紫皇・女皇・上皇・神皇・人皇・聖皇・先皇・前皇・倉皇・尊皇・大皇・太皇・皇・張皇・天皇・東皇・武皇・方皇・法皇・鳳皇・列皇

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報