細辛(読み)サイシン

デジタル大辞泉 「細辛」の意味・読み・例文・類語

さい‐しん【細辛】

ウスバサイシン別名。また、その根や根茎を乾燥させたもの。辛みと特有の香りがあり、漢方鎮咳ちんがい鎮痛薬に使う。

みらのね‐ぐさ【細辛/×韮の根草】

ウスバサイシン古名。〈和名抄

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精選版 日本国語大辞典 「細辛」の意味・読み・例文・類語

さい‐しん【細辛】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 植物うすばさいしん(薄葉細辛)」の異名。また、その茎および根茎を乾燥したもの。アサリニンなどを含み特有の芳香辛味がある。漢方医学では、せきどめ、鎮痛剤として使用する。
    1. [初出の実例]「元日御薬 中宮准此〈略〉細辛三両」(出典:延喜式(927)三七)
  3. カンアオイ類をさす、主として江戸時代以降の園芸家が用いた呼称。〔生物学語彙(1884)〕

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漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典 「細辛」の解説

さいしん【細辛】

漢方薬に用いる生薬(しょうやく)の一つ。ウマノスズクサ科ウスバサイシン根茎(こんけい)と根を乾燥したもの。根は細く、舌を刺す刺激があることが名の由来鎮咳(ちんがい)鎮痛解熱などの作用がある。風邪(かぜ)のひき始めによる鼻炎百日ぜきに効く小青竜湯(しょうせいりゅうとう)感冒気管支炎、慢性の咳(せき)に効く麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)などに含まれる。

出典 講談社漢方薬・生薬・栄養成分がわかる事典について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「細辛」の解説

細辛 (サイシン)

学名:Asiasarum sieboldi
植物。ウマノスズクサ科の多年草

細辛 (サイシン)

植物。ウマノスズクサ科の常緑多年草,薬用植物。カンアオイの別称

細辛 (ミラノネグサ)

植物。サイシンの古名

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の細辛の言及

【カンアオイ(寒葵)】より

…種子には脂肪を含む付属体があり,アリが好んで運搬するアリ散布型の種子形態を有する。本州の伊豆から関東地方に分布し,江戸時代から園芸界では細辛(さいしん)の名で趣味的に栽培されていた。野生品の葉の形,斑紋,葉柄の色,花の色などに多くの変異があるので,それらの変りものが,園芸品種として珍重された。…

【フタバアオイ(双葉葵)】より

…日本や中国大陸に分布し,時には別属とされるサイシン類には本州から北九州の山地,中国大陸に分布するウスバサイシンA.sieboldii Miq.(イラスト)や,北海道やサハリンに分布するオクエゾサイシンA.heterotropoides Fr.Schum.,日本の中国,東北地方に分布するその変種のケイソンサイシンvar.mandshuricum (Maxim.) Kitagawaなどがある。それらの根茎を乾燥したものは細辛(さいしん)と呼ばれ,精油のユウゲノールeugenolやアサリニンasarininを含有し,芳香と辛みを有する。咳止め,発汗,胸痛などに用いられる。…

※「細辛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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