「舞う」と「踏む」とを合成したことばで、一般的には明治以降に使われるようになった。鹿鳴(ろくめい)館などで催された社交ダンスの会を舞踏会と称したことから、社交ダンス、ひいては西洋のダンスなどをいったが、今日ではその意味ではあまり使われなくなった。1950年代後半から前衛舞踊家土方巽(ひじかたたつみ)が、正統モダン・ダンスである「舞踊」に対抗して異端を強調するために「暗黒舞踏」ということばを使った。以降、大野一雄(かずお)、土方巽をはじめ笠井叡(かさいあきら)(1943― )、麿赤児(まろあかじ)(1943― )、芦川羊子(あしかわようこ)(1947― )、山海塾(さんかいじゅく)らの活躍によって、「舞踏」は国際的な用語にもなりつつあり、欧米ではButohと綴(つづ)られている。
[市川 雅]
(鈴木晶 舞踊評論家 / 2007年)
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… 舞踊という語は〈舞(まい)〉と〈踊り〉との合成語で,日本では舞は回るという旋回運動を意味し,踊(躍)りはおどり上がるという跳躍を意味し,それぞれ歴史をもつものだったが,1904年坪内逍遥が《新楽劇論》の中で用いてから一般に普及した。それ以前は明治期に外国語のダンスの訳語として舞踏という語が使われていた。【菊池 明】
[ダンスという語]
英語のダンスdance,フランス語のダンスdanseはともに古代ドイツ語のダンソンdansonからでたものと思われる。…
※「舞踏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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