遣る瀬無い(読み)ヤルセナイ

デジタル大辞泉 「遣る瀬無い」の意味・読み・例文・類語

やるせ‐な・い【遣る瀬無い】

[形][文]やるせな・し[ク]
思いを晴らすすべがない。せつない。「恋を失った―・い思い」
施すすべがない。どうしようもない。
様子が早う聞きたいとすがり責むるぞ―・き」〈浄・八百屋お七
気持ちに余裕がない。
「何彼につけて、気に―・く」〈浮・一代女・四〉
[派生]やるせなげ[形動]やるせなさ[名]
[類語]びんびん切切せつせつ痛切切実深刻ひしひしつくづくしみじみじいん心からせつ苦しい辛い切ないたまらないやり切れない耐えがたいしんどい苦痛である悲しい物悲しいうら悲しい痛ましい哀れ哀切悲愴ひそう悲痛悲傷沈痛もの憂い断腸の思い胸を痛める胸が痛む胸が塞がる忍び難い忍びない見るに忍びない見るに堪えないけだるいアンニュイ胸が裂ける胸が張り裂ける胸がつかえる胸が潰れる胸がつまる気を揉む重苦しい滅入る気遣わしい塞ぐ塞ぎ込む消沈しょげるしょげ返る沈む憂鬱憂愁沈鬱メランコリー気鬱気塞ぎ鬱鬱陰鬱暗鬱鬱屈鬱結鬱気うっき鬱悶うつもん鬱積抑鬱憂さ鬱陶しい悶悶もんもん

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精選版 日本国語大辞典 「遣る瀬無い」の意味・読み・例文・類語

やるせ‐な・い【遣瀬無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]やるせな・し 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 心中の思いを晴らす場・方法・対象がない。
    1. (イ) 思いを晴らすことができず、つらくせつない。もの悲しい気持である。やるかたない。
      1. [初出の実例]「愁が胸中にみちみちてやるせなきままに」(出典:三体詩素隠抄(1622)一)
    2. (ロ) 気苦労が多い。気持のゆとりがない。
      1. [初出の実例]「末々の物入、年中のやりとり、鰤も丹後の一番、さし鯖も能登のすぐれ物を調へ、何角(なにか)に付て気にやるせなく」(出典浮世草子・好色一代女(1686)四)
  3. 施すべき手段・方法がない。どうしようもない。
    1. [初出の実例]「芝居興行の立札、所には珍敷(めづらしく)、見る人やる瀬(セ)なく立塞がり、海道ふさげて人をとをさず」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)二)

遣る瀬無いの派生語

やるせな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

遣る瀬無いの派生語

やるせな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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