面倒(読み)めんどう

精選版 日本国語大辞典 「面倒」の意味・読み・例文・類語

めん‐どう ‥だう【面倒】

〘名〙
① (形動) 体裁がわるいこと。見ぐるしいこと。また、そのさま。
義経記(室町中か)五「此君御供申し、不足なく見する物はめんだうなり」
② (形動) するのがわずらわしいこと。わずらわしく感じられること。くどくてうるさいこと。また、そのさま。
※玉塵抄(1563)二一「されども文などかくみたうもないこと長々とつづけてかくもめんたうなぞ」
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「面倒(メンドウ)なら其薬鑵と粉の筒を爰へ貸れ」
世話厄介
浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)下「此年迄の御めんどう、御恩を報ずる事もなく」
[語誌]語源としては「目だうな」にもとめる説が有力である。「目だうな」は「目」に「だうな」が付いたもので、この「だうな」は「無益に物を浪費すること」「むだになること」を意味し、中世以降、「矢だうな」〔平家‐九〕をはじめ、「手間だうな」「暇だうな」などと見える。したがって、「目だうな」は「見るのも無駄、無益なこと(もの)」が原義で、そこから「体裁のわるいこと」「見苦しいもの(さま)」の意味になったと考えられる。その後、撥音化して「メンドウナ」となって定着し、意味も変化して、語源がわからなくなり、やがて「メンドウ」という発音に引かれて「面倒」という表記がされるようになったものと思われる。→どうな〔語素〕

めんど・い【面倒】

〘形口〙
① 面倒である。めんどうくさい。めんどうしい。
※浄瑠璃・三荘太夫五人嬢(1727)三「ヱヱ面倒(メンド)いと二人を振切り」
みっともない。見苦しい。醜い。
※浄瑠璃・雕刻左小刀(1791)六「塗でも兀(はげ)ては大分めんとい」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「面倒」の意味・読み・例文・類語

めん‐どう〔‐だう〕【面倒】

[名・形動]
手間がかかったり、解決が容易でなかったりして、わずらわしいこと。また、そのさま。「面倒な手続き」「面倒なことにならなければよいが」「断るのも面倒だ」「面倒を起こす」
世話。「この子の面倒をお願いします」
体裁がわるいこと。見苦しいこと。また、そのさま。
「此の君の御供申し、不足なく見する物は―なり」〈義経記・五〉
[補説]「どうな」の音変化。「どうな」は、むだになることで、見るだけむだなものが原義。「な」が形容動詞連体形語尾の「な」のように意識され、「めどう」「めんどう」となり、「面倒」と当て字されるようになった。
[派生]めんどうがる[動ラ五]めんどうさ[名]
[用法]面倒・厄介――「面倒な(厄介な)問題をかかえこんだ」「入国には面倒な(厄介な)手続きが必要だ」「面倒(厄介)をおかけしてすみません」など、わずらわしいの意、また人をわずらわすの意では相通じて用いられる。◇「面倒」は気分としてわずらわしいという意が強いのに対し、「厄介」は事柄そのものが手間がかかってむずかしいというときに多く用いられる。「ごはんをたくのが面倒だから店屋物にしよう」「面倒がらずに辞典を引こう」では、ふつう「厄介」は使わない。◇「後輩の面倒を見る」は、世話をするの意。「知人の家に厄介になる」は、世話になるの意。それぞれ置き換えはできない。◇「面倒」「厄介」よりも文章語的な言い方として「煩雑」がある。「煩雑に入り組んだ人間関係」「事後処理の煩雑さに音を上げる」などと用いる。
[類語](1厄介煩雑複雑煩瑣はんさ難しい錯雑錯綜さくそう手数てかず・てすううるさい煩わしい面倒臭いやかましいくだくだしいうっとうしいこうるさい気詰まりしち面倒しち面倒臭いややこしいしち難しい入り組んだ込み入った手が込んだ難儀煩多気が重い気が進まない気乗り薄うんざり億劫おっくう渋る投げ遣り大儀懶惰らんだ横着怠慢怠惰不精懈怠けたい世話が焼ける手が掛かる冗長繁簡ごたごたもつれる入り乱れる紛糾ごっちゃ乱雑雑然/(2世話

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