デジタル大辞泉 「千秋楽」の意味・読み・例文・類語
せんしゅう‐らく〔センシウ‐〕【千秋楽】
1 (「千穐楽」「千穐樂」「千龝樂」とも書く)芝居・相撲などの興行の最後の日。千歳楽。楽日。らく。
[補説]「穐(龝)」は「秋」の異体字。芝居小屋などが火事に通じる「火」を避けて縁起のいい「亀(龜)」を含む「穐」を用いたものといわれる。
2 物事の最後。終わり。
雅楽。唐楽。
謡曲「高砂」の終わり、「千秋楽は民を
[類語](1)楽日・楽・千歳楽
雅楽の曲名。舞はなく純粋な器楽曲で唐楽管絃(かんげん)に属す。盤渉(ばんしき)調だが渡物(わたしもの)(一種の移調曲)に黄鐘(おうしき)調のものもある。『龍鳴抄』『教訓抄』には、後三条(ごさんじょう)天皇(在位1068~72)の大嘗会(だいじょうえ)のとき、監物頼吉(けんもつよりよし)が勅命により作曲し、それを左大臣源俊房が盤渉調の曲は数少ないからという理由で発表させた、とある。大嘗会とは即位後初めて行う新嘗会(しんじょうえ)のことで、その年の穀物の収穫を神に感謝する重要な儀礼。饗宴(きょうえん)を盛大に催すため、秋の調子である盤渉調の曲が必要となったと考えられる。曲名は中国皇帝の誕生日「千秋楽節」にちなんだものともいう。曲調が穏やかで哀感を帯びるので、葬礼・弔事にしばしば用いられるほか、仏事法要では最後を厳かに締めくくるのに使われる。黄鐘調の曲は盤渉調の曲より一般的で、特別な意味はなく、旋律も平明なため演奏会でも奏される。俗に相撲(すもう)や歌舞伎(かぶき)などで興行の最終日を「千秋楽」「楽(らく)」「楽日(らくび)」というのはこれに由来するが、歌舞伎では「秋」の字の「火」を嫌って「千龝楽」とも書く。
[橋本曜子]
雅楽の管絃の曲名。盤渉(ばんしき)調。黄鐘(おうしき)調に渡物(わたしもの)がある。後三条天皇(在位1068-72)の大嘗会(だいじようえ)に,当時,笛の名人で風俗所預の役目にあった監物頼吉(けんもつよりよし)が勅命によって作ったと伝えられる。一説に唐代の開元年間(713-741),8月5日の〈千秋祭〉に作られた曲ともいうが,日本で作られた曲と考えるのが妥当であろう。早八拍子,拍子8の小曲。なお,興行の最後の日を〈千秋楽〉または単に〈楽(らく)〉というのは,雅楽の番組の最後に《千秋楽》が演奏されたところから来たとも,能《高砂》の一節に〈千秋楽には民を撫で云々〉とあるところからともいう。
執筆者:加納 マリ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…早八拍子,拍子8の小曲。なお,興行の最後の日を〈千秋楽〉または単に〈楽(らく)〉というのは,雅楽の番組の最後に《千秋楽》が演奏されたところから来たとも,能《高砂》の一節に〈千秋楽には民を撫で云々〉とあるところからともいう。【加納 マリ】。…
※「千秋楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加