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『鈴木先生』 すずきせんせい

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知恵蔵2015の解説

『鈴木先生』

中学校の独身教師と彼を取り巻く生徒や教師の感情の揺れ動きを、とりわけその表情の変化を通して克明に描き出した武富健治の話題作。年季の入ったマンガファンや評論家に「マンガの新しい地平を切りひらいた」と言わしめた。一見、現実の微細な部分にまで光を当てたリアルな学園ドラマのようにも見えるが、このマンガをユニークなものにしているのは「発情至上主義」ともいうべき、独特な人格の造形の仕方である。鈴木は麻美という大人の恋人がいながら、担任クラスの核となる優等生小川蘇美に思いを寄せており、この道ならぬ懸想が学園に起こるさまざまな事件や、感情のうねりの基軸となっている。教師として有能で、真摯(しんし)であり、しかも現実適応能力が高く、生徒にも人気がある鈴木だが、絶えず驚き、動揺し、興奮している。鈴木だけでなく、思春期にある生徒たちはもちろん、教師らも発情の気配を、その表情にあらわにしている。作品にみなぎるこの過剰なまでの感情のアップダウンが読者を酔わせる。双葉社刊、3巻まで刊行中。

(鈴木繁 朝日新聞記者 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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