知恵蔵 「ジョーカー・ゲーム」の解説
ジョーカー・ゲーム
小説は短編の連作で、夏目漱石など実在の人物を主人公にしたミステリーで知られていた柳が、昭和初期の日本に実在したスパイ養成機関、陸軍中野学校をヒントに創作した。第1作『ジョーカー・ゲーム』は、エンターテインメント小説誌「小説 野生時代」(角川書店)の2007年11月号で発表された。08年に同作や書き下ろし作品を含めた短編小説集『ジョーカー・ゲーム』(角川書店)が発行され、09年に第62回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)、第30回吉川英治文学新人賞を受賞したほか、第6回本屋大賞で3位に選ばれた。続編として、09年『ダブル・ジョーカー』、12年『パラダイス・ロスト』、15年『ラスト・ワルツ』がいずれも角川書店から刊行され、累計120万部を突破した。
マンガ版は、09~10年にマンガ家の霜月かよ子が作画を担当した『Dの魔王~ジョーカー・ゲーム~』の単行本全3巻と、15年に映画版を元にした『ジョーカー・ゲーム』が、いずれも小学館から発売された。他に、マンガ雑誌「月刊コミックガーデン」(マッグガーデン)の16年3月号から、マンガ家兼イラストレーターの仁藤すばるがアニメ版を元に描いた『ジョーカー・ゲーム THE ANIMATION』が連載されている。
テレビアニメは、16年4月からTOKYO MX系列などで放送を開始した。15年公開の映画「攻殻機動隊 新劇場版」などを手掛けた野村和也が監督を、「僕だけがいない街」などで知られる岸本卓がシリーズ構成・脚本を、マンガ家兼イラストレーターの三輪士郎がキャラクター原案を担当し、「攻殻機動隊」シリーズに携わったProduction I.Gが制作する。これまでに刊行された小説版4作に収録されている短編を順不同で放送する。
映画は15年、小説版のエピソードを元に物語を再構成した、入江悠監督による「ジョーカー・ゲーム」が公開された。人気男性アイドルグループ、KAT-TUNの亀梨和也が新米スパイ役で主演、ヒロイン役を深田恭子、結城中佐役を伊勢谷友介が務めた。
(南 文枝 ライター/2016年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報