テスラモーターズ(読み)てすらもーたーず(その他表記)Tesla Motors,Inc.

デジタル大辞泉 「テスラモーターズ」の意味・読み・例文・類語

テスラ‐モーターズ(Tesla Motors, Inc)

米国電気自動車会社、テスラの旧社名。2017年、現名に改称

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「テスラモーターズ」の解説

テスラモーターズ

2003年に設立された米国の電気自動車(EV)メーカーで、カリフォルニア州パロアルトに本社を置く。主力製品のセダン型EVであるモデルSは好調な売り上げを続け、15年の年間売り上げは5万台を超えた。この結果、モデルSはEV及びプラグインハイブリッド(PHV)の車種別売り上げで、日産リーフ(4万4千台)、三菱アウトランダーPHEV(4万3千台)を抜き世界1位となった。
テスラモーターズはシリコンバレーのEVベンチャーとして出発したが、インターネット決済業務を行うペイパル(PayPal)社などの起業家として知られるイーロン・マスク会長(現在CEO兼任)が個人資金数千万ドルを提供すると共に投資家・機関からの資金調達を主導し、同社の基盤を確立していった。社名は発明家ニコラ・テスラにちなむが、事実上の関連はない。08年にスポーツカータイプのEV、テスラロードスターを発売。9万8千ドルという高価格ながらも、英国の名車ロータスヨーロッパをベースに作られ、加速性能なども高級スポーツカーに引けを取らないことなどから、大きな話題となり予想外の売り上げとなった。12年にはセダンタイプのモデルSを発売。バッテリーにパナソニック製の汎用(はんよう)品である小さな電池を多数搭載するなど、車体も含む各部品を外部から調達し、これらを組み合わせて完成度の高い製品化をする手法で価格を7万1千ドル程度に抑えつつ、EVの弱みであった航続距離を500キロメートル近くまで伸ばしたバランスのよい製品となった。16年には、モデルSより車体が2割ほど小さく、価格を抑えたモデル3を市場に投入。航続距離350キロメートル程度を確保しながら、価格は3万5千ドルと中価格帯の量産車の設定となっている。同年7月には第2次マスタープランを発表し、バスやトラックなどのEV製造や、太陽光発電と蓄電の統合システム開発なども進めていくとしている。
なお、モデルSは14年からレーダー、カメラや超音波センサーなどを搭載しており、15年にリリースされたソフトウエアから、自動運転補助機能が実現された。車線を維持するオートステアリングや、方向指示器を出すだけで車線変更するオートレーンチェンジ、自動車庫入れや、側面衝突警告システムなどが利用できる。同社のシステムは完全な自動運転ではなく、常にハンドルを握ることが推奨されている。長い間手を放しているとオートパイロットが解除され車が停止する仕組みだが、前方を注視していなくてもほぼ自動で動作する。このシステムが仇(あだ)となったと思われる事故が、16年5月にフロリダ州で起きた。高速道路の分岐点で、前を横切って左折するトレーラーに、モデルSがそのまま突っ込んで運転者が死亡。晴天でまぶしくセンサーが感知できなかったため、自動ブレーキが作動しなかったことが原因と考えられている。自動車の半自動や全自動運転の技術開発は各社で進められているが、この事故をうけて安全対策について、見直しや再検討が迫られている。

(金谷俊秀 ライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵mini 「テスラモーターズ」の解説

テスラモーターズ

米国カリフォルニア州のシリコンバレーに本社を構える電気自動車(EV)メーカー。社名の由来は、電気技師であり物理学者であるニコラ・テスラ。2003年創業。04年、起業家のイーロン・マスクが出資し、同社の会長に就任する。08年、スポーツカー仕様のEV「ロードスター」の発売を開始。約10万ドルの高級車でありながら多数の予約注文を受け、特にハリウッド俳優や著名な実業家たちからの人気が高かった。10年、トヨタ自動車とEV分野の共同開発を行う業務提携契約を締結。12年にはセダン型EV「モデルS」を発売し、成長を続けている。

(2013-5-29)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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