化学辞典 第2版 「ニトリド錯体」の解説
ニトリド錯体
ニトリドサクタイ
nitrido complex
配位子としてN3-を含む錯体.種々の型のものが知られている.【Ⅰ】LnM≡N型.この型のものがもっとも多い.たとえば,[Os(≡N)O3]- では,Osのまわりに3個のO原子とN原子が四面体型に結合している.【Ⅱ】M-N-M型.たとえば,[{RuCl4(H2O)}2N]3- では,N原子の両側が対称形の直線形である.[Re(CN)4N]2- では,平面正方形型のRe(CN)4の垂直軸方向からN原子が結合し,さらに隣接錯体のN原子が,同じ垂直軸上の逆方向から結合し,結局ReはひずんだReN6正八面体型である.Cl3Ga-N-ReCl2(P(CH3)2C6H5)のように両側の金属錯体が異なるものもある.【Ⅲ】N原子が3個または4個のMと結合したもの,より複雑なポリマー型など,数例を図(a)~(e)に示す.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報