キプリス(その他表記)cypris

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キプリス」の意味・わかりやすい解説

キプリス
cypris

フジツボ類の後期幼生で,三角形の甲をもつノープリウスの最終幼生が脱皮し,左右2枚の二枚貝状の殻で包まれた状態。第2触角は退化し,第1触角上に固着盤を,6対の胸肢上に遊泳剛毛を生じる。2枚の殻の腹端開口部から胸肢を出して泳ぐが,口器が退化しているため餌はとらない。しばらく遊泳したのち,固着盤の部分に排出されるセメント腺分泌物によって,岩の上などに頭部を下にして定着し,殻を捨て,代りに周囲に殻板を分泌してフジツボ類の幼個体に変態する。寄生性のフクロムシ類も同様な幼生をもつ。

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世界大百科事典(旧版)内のキプリスの言及

【蔓脚類】より

…ノープリウスには逆三角形状の背甲があり,その前側角に各1棘(きよく)と尾端に1尾棘,尾棘下に2枝状の腹突起がある。メタノープリウスを経て,この類に特有なキプリスCypris幼生となる。これは初め自由浮遊生活をしているが,のちに他物に付着し,脱皮と同時に変態して,成体になり固着,あるいは寄生生活に入る。…

※「キプリス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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