ディグリー・ミル(読み)でぃぐりーみる(英語表記)Degree Mill

知恵蔵 「ディグリー・ミル」の解説

ディグリー・ミル

十分な教育を施さずに、営利目的で卒業証書(ディグリー)を発行する大学のこと。工場(ミル)になぞらえてこう呼ぶ。日本と異なり、米国では連邦政府による大学の認可制度がないため、こうした大学を取り締まることは難しい。最近はインターネットを使った大学も増えており、こうした大学が活動しやすくなっている。米国、欧州豪州では各国が問題のある大学や信頼できる大学のリスト作りを進めており、ユネスコもそうしたリストを活用して世界の大学のリストをネット上で公表する準備を進めている。日本でもディグリー・ミルで取得した学位を示して、大学に教員として採用されようとするケースが出始めている。文部科学省は2006年から全国の大学に、各国のリストを紹介するなどして注意を呼びかける。07年2月に国会で民主党議員がこの問題を取り上げたのを機に、同年7月には全1207の国公私立の大学・短大を対象に文科省が実態調査を始めた。

(増谷文生 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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