…1911年には6本のダンヌンツィオ作品が映画化された(そのうちの1本《イノセント》はそれから65年後の76年にルキノ・ビスコンティ監督によって再映画化され,その遺作となった)。ものういポーズと凄艶(せいえん)な流し目で〈運命の女〉を演じた女優たちは〈ディーバdiva(女神)〉の名で呼ばれ,そこから〈ディビズモdivismo〉(のちのスター・システムに相当する)ということばも生まれ,リダ・ボレッリ,フランチェスカ・ベルティーニ,ピナ・メニケッリ,マリア・ヤコビーニといった大女優が映画界に君臨した。〈ダンヌンツィオ主義〉に彩られた〈ディーバの映画〉は,1916年に,当時イタリアの最大の舞台女優であったエレオノーラ・ドゥーゼ(かつてダンヌンツィオの愛人だったこともあって,ダンヌンツィオ作品の映画化にはかならず彼女の出演のうわさがついてまわるほどだった)が,ついにスクリーンに登場したフェボ・マリ監督《灰》で一つの頂点に達したが,58歳の〈ディーバ〉はクローズアップを一度も許さず,映画も不評で,以後は女優中心の映画づくりは下降線をたどることになる。…
※「ディーバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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