繰り返し圧迫力がかかることによって中足骨骨頭部(図35)への血行が一時的に障害されて生じる足部骨端症(無腐性壊死)のひとつです。初期治療が大切で、早期より徹底した治療がなされなければ関節変形を来し、疼痛が残りやすいので注意が必要です。
①発病の経緯
外傷に続発することもありますが原因不明のことが多い病気です。徐々に強くなる足前方の荷重時の痛みで始まります。
②年齢・性別・左右差
好発年齢は12~18歳で、女性は男性より3~4倍ほど多く、両側例が10%程度にみられます。
③症状
踏み返しの時に患趾の付け根の関節に疼痛があるため、その部位への荷重を避けた歩き方をします。罹患した中足骨骨頭に一致する疼痛・圧痛・腫脹がみられます。趾の軸方向に力を加えると疼痛を訴えます。関節の可動域制限があります。第2中足骨が最も多い傾向にありますが、他の中足骨が罹患する場合もあります。
ごく初期には単純X線上の異常はありませんが、数週間を経過すると変化が出てきます。2年ほどの経過でX線上では治ってきます。放置例や治療開始が遅れた例では骨頭が変形し疼痛を残します。中足骨疲労骨折、リウマチ性関節炎との鑑別が重要で、X線像が鑑別に有用です。
足部骨端症のなかでは、フライバーグ病だけが早期診断・早期治療が重要な病気です。中足骨頭を変形なく治癒させることが治療の目的です。そのためには、血行が再開し骨頭が修復されるまで中足骨頭への荷重を避けることが重要です。
初期の疼痛が強い時期には、3~4週間ギプスを巻いて荷重を避けます。その後も、罹患した中足骨頭の除圧のための工夫をした靴敷きを、数年にわたって使用します。踵の高い靴の使用、ランニングや長時間の歩行などは厳禁です。関節に障害を残した例や治療開始が遅れた例では、手術治療も考慮されます。
川端 秀彦
足のほぼ真ん中にある中足骨骨頭に発生する骨端症です。1914年、フライバーグにより報告されたのでこの名がついています。1915年、ケーラーもこの病気を報告しており、前記のケーラー病と関連してこちらを第2ケーラー病と呼ぶこともあります。中足骨のなかでも、歩行時に最も圧力がかかるとされる第2中足骨に発生しやすく、第3中足骨にみられることもあります。まれに第4中足骨にもみられます。ケーラー病より発症年齢が高く、10~16歳前後に発生しやすく、女性に多い特徴があります。
足部の痛み、歩行障害が生じます。X線像では、中足骨頭に特徴的な透亮像、硬化像、扁平化を認めます。
痛みが強い場合には、松葉杖歩行やギプス固定を行います。他の骨端症同様、修復に転じると骨の変形が改善しますが、著しい変形が残る場合は手術的治療を行うこともあります。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
世界大百科事典内のフライバーグ病の言及
【虚血性骨壊死】より
…原因不明のものは特発性骨壊死idiopathic necrosisと呼ばれる。これには成人の特発性大腿骨頭壊死,ペルテス病(小児大腿骨頭壊死),膝特発性壊死(高齢者大腿骨内顆関節面の病変),キーンベック病(成人月状骨壊死),ケーラー病(小児の足の舟状骨病変),フライバーグ病(第2ケーラー病ともいわれ,思春期の第2中足骨頭の病変)などがある。成人の特発性大腿骨頭壊死は1960年以降症例が急増し,アルコール愛飲,肝臓障害との関連が検討されている。…
※「フライバーグ病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報