…このほか米価対策として行われた囲米として,(1)幕領年貢収納量がピークに達した宝暦年間(1751‐64)に,諸大名にたいし1万石につき籾1000俵の囲置きを命じた例,(2)寛政(1789‐1801)初年に幕領農村に郷倉を設置したり,江戸・大坂に籾蔵を建てるなどして,農民・町人に貯籾を命じ,凶作時の夫食(ぶじき)・救米の備えとした例,(3)低米価に悩んだ文化年間(1804‐18)に,大坂の豪商に囲米を命じ米価引上げを図った例などがある。また備荒貯穀として独自な囲米制度を採用している藩も多く,水戸藩の常平倉,会津藩の社倉,米沢藩の義倉などは著名である。【大口 勇次郎】。…
…義倉の理念はすぐれていたが,本来の機能を十分に果たしえないまま律令制の衰微とともに廃絶された。常平倉賑給(しんごう)【舟尾 好正】 近世には,義倉のもとの意味にかかわらず備荒貯穀制度として義倉・社倉が論じられ,天領の倉敷をはじめとして米沢,弘前,津などの諸藩で制度がたてられた。【伊藤 好一】。…
…盗難にあったときは,不足分だけ村が弁償する。近世中期以降,備荒貯穀制度が普及すると,その貯穀のために義倉(ぎそう),社倉として使われた。郷倉は村役人の屋敷内に設けられることもあったが,村の中央,村はずれなど,設置場所は村によって違っていた。…
※「備荒貯穀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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